読者の方に最も伝えたいことSpecial Message

自分の目と知識だけを信じ、世界中を飛び回る人生を送ってきた。
スペシャルウィークは北海道門別町の日高大洋牧場で、アグネスデジタルはケンタッキー州のラニミードファームで見つけてきた馬だ。

その馬体をじっくりと観察し、成長した姿をイメージする。
体のライン、飛節や繋など、チェックする項目はいくつもあるが、どの馬も同じように見ているわけではない。

最終的な決断は血統──。

この言葉を誤解しないでほしい。
私が拠りどころにしていたのは、目の前の仔馬に流れる血の根源。
馬も人間と同じように父や母に似た姿となって、この世に生を受ける。
さらに遡れば、祖父や3代父に似ている馬だって、いるかもしれない。
仮に脚が曲がっていても、繋の角度が十分でなくても…。
それが名馬と呼ばれた馬から譲り受けたものであるのなら、その馬には大いなる可能性があるはずだ。

私が管理した数頭の名馬について、この連載で話をさせてもらった。
なぜ、その馬を私が選んだのか?
その理由についても説明させてもらった。
ゆえに読者の方は知ってらっしゃるはずだ。

決定的な理由は常に血統──。

この世界には多くの名馬が存在する。
そして、今日も多くの名馬が世界中で生まれ続けている。
その名馬たちは繁殖となって子孫を残し、時に栄え、時に淘汰されていく。

しかし、サラブレッドは単に繁殖を続けるだけの機械ではない。
経済の流れ、人間の思惑、それ以外の多くの要素が重なり、予想もしないような名馬が生まれることもある。

だからだろうか?
何十年も競馬の世界に身を置き、馬の側にいる生活を続けているが、その興味は永遠に尽きない。

競馬の魅力は血統──。

最後は必ずここに行き着く。
私は世界中で多くの種牡馬を見てきた。
海外の本を読み漁ったのも、やがて来る“血の流れ”を先取りするため。
その思いは現在も変わらない。

目の前の仔馬をより深く知るため。
私は数多くの種牡馬を、繁殖牝馬を知りたいと思った。
それがすべてのスタートだった。

ここからは調教師・白井寿昭の本丸とも言える部分だ。

連載の第1回に予定しているのはサンデーサイレンス。
日本の生産界を根底から覆してしまった大種牡馬で、私は彼の産駒で多くのGIを勝った。
だが、2回目に予定しているトニービンと私の相性は最悪。
私は彼の活躍を予見できなかったのだ。

だからこそ、読者の方々に知ってもらいたい。

なぜ、私がその種牡馬を評価したのか?
もしくは評価しなかったのか?
その理由を。

長い前置きになった。
しかし、この案件は調教師として生きた自分の最も大事な部分。
そして、私が読者の方に最も伝えたい部分でもある。

競馬の魅力は血統──。

世界には多くの馬がいる。今日も生まれ続けている。
長い連載になると思うが、ぜひお付き合いをお願いしたい。

※「連載~最強の競馬学~」2017年1月10日公開分より

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