【6月1日・2日開催】安田記念、鳴尾記念ほかレース解説 2019年 レース

〈古馬重賞〉

6/2(日) 東京11R 芝1600m
安田記念

アーモンドアイ、ダノンプレミアム、ペルシアンナイトを襲った不利は避けようのないアクシデントだった。スタートを出た直後に馬が物見をし、内側へとヨレてしまったのだから、武豊騎手の手腕を持ってしても立て直しようがない。「運がない」で片付けてしまうのは酷に思えるが、これも競馬と割り切ってもらうしかないだろう。前述した3頭は本当に運がなかった。

しかし、それだけの不利を受けながら、さらに言えば、直線で進路ができるのを待つロスがありながら、とてつもない脚で迫ってきたアーモンドアイの姿には、これまでのGI勝利と互角か、それ以上の凄みを感じた。多くの競馬ファンも私と同じ感覚ではないだろうか?

この日の東京は圧倒的に外枠が不利で、追い込んでくることが不可能な馬場状態。実際、上位に来ている馬のほとんどがひと桁枠番の馬だった。前述した不利だけでなく、このような状況さえも覆そうとしたアーモンドアイの3着は、近年でも例がないほどの「負けて強し」の競馬であり、この馬こそが現役最強馬という思いを再認識した次第だ

勝ったインディチャンプは好枠から流れに乗り、一瞬の決め手を上手に活かした。父はステイゴールドだが、リアルインパクトを出したトキオリアリティーを祖母に持つ母系の影響が強い馬で、その本質はスピード決着にこそある。今回のような高速馬場が合う馬だったと言えるかもしれない。

もちろん、それを可能にすることも能力のひとつであり、日本のマイルGIが東京、京都とスピードを必要とするコースで行われていることも考えれば、今後も血統の高速化は進むだろう。そして、この条件を勝っていく馬が、未来の生産界を支えていくことになるかもしれない。そのような意味では、ふさわしい馬が勝ったレースと言えるだろうか。

2着アエロリットは前に行ける強みを今回も存分に活かした。もう少し速いペースのほうがこの馬には向いたかもしれないが、安田記念での連続2着は牡馬でも難しい。賞賛に値する結果と思う。5月の遅生まれなので、おそらくは引退する6歳春まで能力が減退することはないだろう。しかし、東京コースを得意とする馬。秋はレースの選択が難しいかもしれない


6/1(土) 阪神11R 芝2000m
鳴尾記念

前走に続いての重賞連覇を果たしたメールドグラース。ハンデ戦から別定戦へと条件を替えても、パフォーマンスに変化がなかったことを考えれば、4歳になっての充実ぶりを素直に認めるべきだろう。特に前残りの流れを大外から差し切った今回は、力の違いを感じさせる内容だった。

エアグルーヴを母に持つルーラーシップの種牡馬としての可能性は、以前から高く評価してきた。私の考える、生産界の考える期待値ほどの結果は出せていなかったかもしれないが、どこかのタイミングで大物が出ても不思議はない。それが5月生まれの同馬であったとすれば、大きいところに舞台を移しても期待は持てるだろう。

ルーラーシップは自身の母系が優秀というだけでなく、キングマンボ系とサンデーサイレンス系のニックスを成立させやすいところにも魅力がある。あえて弱点を上げるなら、スピードの血が乏しいところだろうか。母父ディープインパクトで祖母にスピード馬のロンドンブリッジがいるキセキは、ルーラーシップ産駒の目指すべき方向を端的に占めている馬だが、3代前にヌレイエフがいる今回のような配合でも弱点をカバーできることが証明された。このような血統構成の馬を狙っていくのが面白いと私は考えている。


〈新馬戦〉

6/1(土) 阪神5R 芝1600m
メイクデビュー阪神

新馬戦が開幕する6月1週目にデビューする馬こそが、来年のクラシック候補になる。それが現在の潮流。土曜の阪神マイル戦でデビューしたリアアメリアは、仮に相手のレベルが相当に低かったとしても、そんなことはまるで関係のないフットワークで走っていた。相当な大物だ。

だが、スタートから意識的に馬を下げ、掛かりそうになるのをなだめていたことを考えると、距離の壁が存在する可能性はある。どのような形で競馬を教えていくのか? それが今後の課題となるだろう。しかし、ディープインパクトという種牡馬は次から次へと大物を輩出してくる。本当に素晴らしい種牡馬だ。


6/2(日) 東京5R 芝1600m
メイクデビュー東京

日曜の東京はマイル戦が2鞍。出遅れを克服して勝ったモーベットの走りは印象深いものではあったが、父がオルフェーヴルで初戦から出遅れ。これが当たり前のことではなく、たまたまの出遅れであれば問題はないのだが、それがはっきりとしないのであれば、見た目のインパクトほどの賞賛はできない。それがデビュー戦なら、なおのことだ。


6/2(日) 東京6R 芝1600m
メイクデビュー東京<

走破時計では見劣っても、モーベットの上がり3ハロンを0秒7も上回ったサリオス。牡馬と牝馬の違いはあるが、ハーツクライ産駒のこの馬のほうが将来性は高いと私は感じた。本来、前残りの馬場でハナを切った2着アブソルティスモが勝つべきレース。実際、後続には7馬身もの差をつけている。この馬のパフォーマンスも重賞を意識できるレベルだったと思うのだが、それを一気に差し切ってしまった。この馬もまた相当な能力の持ち主だ。

先週の血統診断でも述べたが、ハーツクライ産駒は晩成傾向が強い。それが購買をためらう理由のひとつにもなるくらいのだが、最近は意識的に種付けのタイミングを早くすることで、マイナス材料を消そうとする考えが根付いている。ノーザンファームの生産馬には、その意識を強く感じる。

今回のサリオスは1月の早生まれで馬体重は534キロもある。余裕を残した状態ではあっただろうが、ハーツクライ産駒のイメージにない早い成長を見せていることも確かだ。ハーツクライにはディープインパクト産駒以上の成長力がある。このタイミングでデビューし、クラシックの時期にもうひと皮むけることができれば、それこそGIの舞台で主役を張ることもできるのではないだろうか。


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