【5月25日・26日開催】日本ダービー、目黒記念ほかレース解説 2019年 レース

〈3歳重賞〉

5/26(日) 東京11R 芝2400m
日本ダービー

先週のオークスに続き、ダービーもディープインパクト産駒のワンツーで決まった。

絶対的なスピードが必要になっている現在の東京芝への適性の高さ。これが背景にあってこその結果ではあるが、それを考慮してもディープインパクトという馬の凄さを感じずにはいられない、貴重な2週間と言えるだろう。

2番手で自分の競馬ができたことを、一番の勝因に挙げられているロジャーバローズ。それは間違いのない事実だろう。一方で、速いペースで流れた2番手追走がそこまで楽だったのか? これについても考えるべきだ。

ハナを切ったリオンリオンは15着に沈んだ。リオンリオンとロジャーバローズの位置関係を見れば、決して楽なペースでなかったことがわかると思う。つまりは展開利のみで勝った1戦ではないということ。しっかりと認識しておきたいポイントと言えるだろうか。

すでにいくつかのメディアでは語られていることだが、この馬の母リトルブックは、ジェンティルドンナを産んだドナブリーニの半妹であり、ディープインパクトと掛け合わせた同馬の配合は、ジェンティルドンナと4分の3で同じ。血統的な可能性を大いに持っていた馬だった。

パドックの雰囲気が素晴らしく、好枠でもあったことで、マークするかどうかを最後まで悩んだ馬だが、買い目が増えることを嫌い、最後は切ってしまった。相馬には自信を持つ私だが、馬券を買うという行為に関しては、まだまだ素人と知った次第。これは反省点だ(苦笑)。

しかし、一般的には波乱と呼ばれる結末であっても、勝ち馬は大仕事をする可能性を持っていた。「ここ一番での爆発力を生み出すものは常に血統」ということを再認識したダービー。その意味では、私にとって価値のあるレースだったと言える。

さて、一部では同馬の凱旋門賞の挑戦が取り沙汰されているようだ。

今回とはまるで条件の違う遠征を、訝しがる声もあるようだが、私は違う。スピードを持っている馬こそが、海外へと出て行くべき──。常に私はそのように考えてきた。

海外の芝に合うかどうかは、やってみないとわからない面が多い。合うと思っていた馬でも合わなかった。そんなことは当たり前のようにある。そして、その状況に適応できないのが差し馬だ。

馬場にマッチングできなければ、加速していくことさえもできない。多頭数になることが多い凱旋門賞で、トップスピードに乗せられなければ、勝ち負けまで行くはずもない。末脚不発という結末は、一方でスピード不足から起こっていること、と考えればわかりやすいだろう。

逆に潜在的なスピード能力。これは普遍的なものだ。

馬場に対する適性の差はあるだろう。しかし、高速馬場でも先行できるような馬は、持っているスピードが他の馬よりも優れている。重い馬場でしか先行できない馬とは違うのだ。そして、これこそが遠征を決断するために、最も必要な要素と私は考えている。

「ディープインパクト産駒はフランスの芝に合わない」。

そんな声を聞くこともあるが、ディープインパクト産駒でもスピードを武器にしたエイシンヒカリは、フランスのイスパーン賞を勝った。それはスピードこそが、世界共通で通用する武器であることを示している一例だ。

折り合いを付け、最後に脚を残す競馬こそが正しい──。そのようなイメージを日本の競馬は持ち過ぎている気がする。欧州のトップホースが集う凱旋門賞で、トップホース、トップジョッキーに囲まれて競馬をするくらいなら、ポジションを取って競馬をしたほうがいい。そのほうがチャンスは生まれてくるだろう。その競馬をするために必要なものこそが、絶対的なスピード能力だ。

今回の勝利は、凱旋門賞への適性を示すものでなかったかもしれない。しかし、ロジャーバローズのスピードは、遠征に踏み切っても面白いと思わせるものだった。これだけは確かだ。

角居厩舎はキセキも凱旋門賞の登録を済ませているという。この馬もスピードを武器にしたタイプだ。2頭で遠征をするようなら、さらに面白いだろう。

同じ厩舎の繋がりということで、1番人気で4着に敗れたサートゥルナーリアについてもひと言だけ述べておく。

ゲート裏の雰囲気を見て、これは危ないと思ったが、このような状況になったとき、その馬への騎乗経験があるかどうかが、実は大きな差になってしまう。

私は継続騎乗を一つのプラス要素として考えるタイプの人間だ。それは技術以外の要素──。つまりは馬の特徴を認識しているかどうかの差になるのだが、それは実戦で跨ったものにしか、わからないことが少なくない。

レーン騎手は技術の確かな素晴らしい騎手だ。しかし、サートゥルナーリアがどのような馬なのか? それを知らなかった。その意味では、ルメール騎手の騎乗停止→レーン騎手の代打騎乗という一連の流れは、サートゥルナーリアにとって大きなマイナス材料だったのかもしれない。

もちろん、すでに結果が出たからこそ、言えることではあるのだが。


5/25(土) 京都11R 芝1200m
葵S

父がルーラーシップで、母父にはスペシャルウィーク。オークスを走っていても不思議のない血統構成を持ちながら、スプリント戦で傑出した成績を残すディアンドルのスピードはどこから来ているのか? その先にいるエリシオも凱旋門賞を勝った馬。いや、実に不思議だ。

この馬自身を見れば、牝馬でも490キロもの馬格があり、使い減りしない感じがいい。少し頭の高い面はあるが、それこそが短距離路線へとシフトしている理由かもしれない。いずれにしろ、スッと先行できるスピードを持っている馬。今後も大崩れなく、走りそうな予感がした。

注目は母父のスペシャルウィーク。ブルードメアとして存在感をアピールし出していることは、折に触れて述べているつもりだが、今回はルーラーシップとの掛け合わせで、実に面白い馬を出した。このような短距離馬を出したことで、母父スペシャルウィークの可能性がさらに広がってくれれば、同馬を管理した私にとって、これ以上ない喜びとなるだろう。

シーザリオの産駒が示しているように、母父スペシャルウィークはキングマンボ系との相性がいい。これは誰もが知る事実。ゆえに今後はディープインパクトの後継種牡馬のような、体内にサンデーサイレンスの血を持つ馬とのインブリードで、その可能性を探ってほしい。

スペシャルウィークはサンデーサイレンス産駒にしては珍しい気性の穏やかな馬だった。気性難が心配されるサンデーサイレンスのインブリードでも、その一方がスペシャルウィークであれば、その不安は軽減されると私は考えているのだが、そのような馬の活躍を見る日が来るのだろうか? 楽しみに待ちたい。


〈古馬重賞〉

5/26(日) 東京12R 芝2500m
目黒記念

勝ったルックトゥワイスよりも、凱旋門賞を視野に入れていながら、8着に負けたブラストワンピース。同馬の不甲斐なさを嘆くレースだった。

高速馬場での重い斤量が応えたのかもしれない。馬体重が示す通りの太め残りで、状態そのものもひと息だったようだ。だが、それでも負け方というものがある。何の不利もなく4コーナーを回り、追い出すタイミングも悪くない。その内容だけを見れば、完全な力負け。言い訳はできない。

世界を目指す馬であるのなら、今回のメンバーでの8着は絶対に許されない。それが、どのような状況であったとしても、言い訳のできる敗戦ではない、と私は思う。世界への扉は完全に閉ざされたと言っていいだろう。

仮に調整不足であるとするならば、ここに出走してくるべきではなかった。少し残念なレースだった。


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