[第6章]距離をこなすデインヒル系の馬たち(デインヒル編) 過去の名馬

・距離をこなすデインヒル系の馬たち

昨年の有馬記念を勝ったブラストワンピースを筆頭に、ディアドラやモズカッチャンなどのGI馬も輩出したハービンジャー。
彼もデインヒルの血を受け継ぐ種牡馬だが、その特徴はダンジグ系のスプリント力ではなく、中距離以上の距離に必要なスタミナを有している印象すらある。

ハービンジャーの母系はベーリングにシャリーフダンサー。
確かに長距離志向に強い馬の名が並んでいるが、母系の影響だけでハービンジャー産駒の適性が決まっているわけではない。
ハービンジャーの父であるダンシリ。
デインヒルの後継種牡馬でありながら、中距離以上の距離に強い適性を示すこの馬こそが、ハービンジャーの活躍を後押ししていると私は考えている。

イルドブルボン、ハイライン、ロベルトといったスタミナ色の強い馬を母系に並べているダンシリには、デインヒルの産駒らしくないスタミナ系の種牡馬というイメージを持っている方は多いだろう。
私も似たような認識を持っているが、それはチーフズクラウンに対しての認識に近いものだ。

アグネスデジタルの購入に際し、チーフズクラウンの存在が大きかったことは、すでに過去の連載で述べた。
しかし、チーフズクラウンが単なるスタミナ系の種牡馬であれば、私は注目しなかった。
彼はダンジグの系統に属する馬。
ベースとなるスピードが他の系統と違うという認識を持てなければ、私はアグネスデジタルを見初めることはなかっただろう。

ダンシリも同様だ。
彼の母系はスタミナで埋め尽くされ、その産駒もスタミナ豊富な馬が多い。
しかし、それらの馬は決してスピード負けすることなく、むしろ究極のスピードを問われるレコード決着などで、結果を残してきた馬もいた。
それはダンシリがスピード豊富なデインヒルの産駒であるからだ。

・ダンシリの血統から感じるものとは

ダンシリにはステークスウィナーとなった弟妹が多数いる。
ビヴァリーDSを勝ったヒートヘイズはグリーンデザート産駒だが、ジャックルマロワ賞を勝ったバンクスヒル、BCフィリー&メアターフを勝ったインターコンティネンタル、マンノウォーSを勝ったカシーク、カナディアン国際Sを勝ったシャンゼリゼはいずれもデインヒルの産駒。
相性抜群の配合であったことは間違いないだろう。
しかし、トップレベルの活躍をするためにはスピードの絶対値が必要。
スタミナ系の種牡馬という認識をされているにもかかわらず、トップレベルのスピードを持つ稀有な血統がダンシリの血統なのだ。

前述したハービンジャーだけでなく、ダンシリは数多くの活躍馬を送り出している。
ディープインパクトが走った2006年の凱旋門賞を勝ったレイルリンクもダンシリの産駒。
世界を股にかけて活躍し、香港ヴァーズなどを勝ったフリントシャー、プリンスオブウェールズSなどGIを4勝したザフューグもそうだ。
彼らの多くは母系にスタミナ系の血を持っており、ダンシリとの掛け合わせはスタミナ×スタミナとなってしまうはず。
しかし、彼らはトップクラスで勝負できるスピードを持っている。
それはダンシリの父であるデインヒルから受け継いでいるもの。
目に見えない隔世遺伝の影響が、ダンシリ産駒の中に存在しているのだろう。

(※次回に続く)


【過去の連載馬】
[第1章]成功の予感(ロードカナロア編)
[第1章]ノヴェリストの可能性を探る(ノヴェリスト編)
[第1章]世界最高峰の種牡馬(ガリレオ編)

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