【4月28日・29日開催】天皇賞(春)、青葉賞ほかレース解説 2018年レース

〈スペシャルウィーク〉

先週金曜日の夕方、私が管理したスペシャルウィークの悲報が飛び込んできた。多くの新聞社から連絡が入り、コメントも発表させてもらったが、私の長い競馬人生の中でも「最高傑作」と考えている馬。簡単に整理できるものではなく、仔馬時代から競走馬となった彼の立ち写真を眺めながら、どれか一つと絞ることの出来ないたくさんの思い出で、心を濡らすことになった。どんな動物でも、いずれは死を迎える。仕方のないことではあるが、気持ちの沈む週末となってしまった。

スペシャルウィークの誕生日は5月2日。ゴールデンウィークの真っ只中に生まれ、ゴールデンウィークが明けるとともに北海道へと飛んだ日が、昨日のことにように思い出せる。本来であれば、今年の5月22日。一つ年を重ねた彼に会いに、彼の生まれ故郷である日高大洋牧場へと訪れるつもりだった。

彼に会えなかったことを残念に思うとともに、改めて感謝の気持ちを送りたい。安らかに眠ってほしいと思う。


〈古馬GI〉

4/29(日) 京都11R 芝3200m 天皇賞(春)

京都の3200mは難しい。そんな感想を改めて持った1戦だった。現代競馬において3000mを超える長距離レースは、特殊なカテゴリーに属していると考えていいが、同じ3000m超のレースであっても、走るコースが替わることにより、動いていくべき場所も、通るべきコースも大きく変わってくる。ゆえに京都の3200mは難しいという発言をしたわけだ。

レインボーラインは前走の阪神大賞典に続き、3000m超のレースを連勝してGⅠ制覇を果たした。しかし、勝負どころで外から進出し、他馬を捻じ伏せるような形でコーナーを回った前走と違い、今回は直線を向いた段階でも今後の進路を選べる位置。最終的に岩田騎手はシュヴァルグランの内を狙ってくるのだが、そのポジションに馬を誘導できたかどうかが結果を決めた、と私は考えている。

レース後の下馬があり、その後が心配されたレインボーラインだが、想定していた最悪の事態は避けられたようで、そこは素直にホッとしている。ステイゴールド産駒らしい小柄な馬体だが、追ってしっかりとしている馬で、前を捕まえようとする気持ちも感じる。人馬ともにいいレースをしたと言えるのではないだろうか。

思っていたよりも楽に3番手の位置を取り、そこで進出の機会をうかがう形になったのが2着のシュヴァルグラン。すでに直線入り口で先頭に立ったボウマン騎手の騎乗ぶりは責められないだろう。3000mを超えるレースでは、脚をためて直線一気のような芸当は非常に難しい。能力のある馬であれば、悔いの残らないように積極的な騎乗をすべきだろうし、私が当事者であるなら、そうしてほしいと思う。最も強い競馬をしたのは同馬だろうし、実際に3着のクリンチャーを抑え込むことはできたのだから、キタサンブラックやレイデオロを相手にジャパンカップを勝った能力を示すことができたと思う。

3着のクリンチャーも上手な競馬をしたと思うが、追ってしぶといキャラクターを活かしきるまではいかなかった。武豊騎手の代打に指名された三浦騎手の技術は確かだが、京都の3200mの経験がそこまで豊富でなく、加えてGⅠにテン乗り。簡単ではなかったと思う。クリンチャー自身に問題はないかもしれないが、このレースはコースの攻略が難しい。シュヴァルグランよりも高い評価をできない理由のひとつに、このテン乗りを私は挙げていた。

サトノクロニクルの川田騎手を筆頭に、トーセンバジルのデムーロ騎手、アルバートのルメール騎手は、道中で動いて行こうという姿勢を見せた。しかし、昔から言われるように「淀の坂はゆっくりと上って、ゆっくりと下りる」がセオリー。外を回らされる距離ロスは避けたいが、下手に動くとスタミナをロスしてしまう。これほどの騎手であっても、外枠からのスタートはマイナス材料になるということだ。

何度も言うが、京都の3200mは難しい。それを改めて感じた1戦だった。


〈3歳重賞〉

4/28(土) 東京11R 芝2400m 青葉賞

2分24秒4の走破時計は悪くなく、このままの数字をスライドできれば、ダービーでの好走も可能ということにはなる。勝ったゴーフォザサミットの父ハーツクライ。母父はストームキャットでも、この距離にまるで不安を持たない馬と考えていいだろう。

だが、それでも本番での好走確率は高くないように思う。この時期の3歳馬にとって、2400mの距離を走ることは簡単ではなく、肉体へのダメージも残りやすい。速い時計が出るようになった近年は特にそうで、ゆえに有力視される馬たちは、ある程度の間隔を取れるローテーションを組むようになっている。前述したような速い時計は能力の証明になる一方で、本番までに疲労を回復させることができないのでは?という不安材料にもなってしまうのだ。

唯一の救いは、勝ったゴーフォザサミットが関東馬であるということ。シンボリクリスエスにゼンノロブロイ、フェノーメノなど、短い期間での長距離輸送を避けられる関東馬のほうが、ダービーでも好走しやすい傾向にある気がする。

青葉賞の2着で権利を取ったプレシャスソングという馬をダービーに出走させた経験があるが、本番までのお釣りを残すことができずに8着と敗れた。関西馬にとって、かなり厳しいローテーションということは、覚えておいたほうがいいだろう。


〈3歳オープン〉

4/29(日) 東京11R 芝1800m スイートピーS

前走は道中で口を割るなど、スムーズな走りができなかったランドネだが、今回は少頭数の外枠スタートということもあり、2番手でもリラックスした追走。このような競馬ができれば、今後に期待は持てるだろうし、飛びの大きいフットワークにスケールも感じる。牝馬でも500キロ近い馬格を有しているところも魅力と言えるだろう。

しかし、それは秋以降のレースを見据えた場合のことであって、中2週で挑まなくてはならないオークスは、さすがに体調の維持が難しいだろう。今回の馬体重は前走から12キロ減。薄いとまでは言わないが、これ以上はさすがに厳しいと思える状態だった。

栗東に戻して、再度の長距離輸送。特に今年は上位陣の層が濃い。苦しい競馬になると思う。


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