輝かしい実績に裏付けられた独自理論から、注目馬の血統をチェック!

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    【9月23日・24日新馬戦】意外性のある面白い掛け合わせ

    【中山デビュー】 ※土曜中山5R 芝1600m※ グランドピルエット 牝2 馬主:(有)社台レースホース 厩舎:(美)田村康仁 父:ロードカナロア 母:ザレマ(母父:ダンスインザダーク) 【馬名の意味・由来】 バレエの回転技法(仏) 【コメント】 母のザレマはダンスインザダーク産駒だが、勝った重賞は1600mの京成杯AH。ジリッぽい走りに父の影響を多少は感じさせたものの、マイルの距離を得意としていたところを見ると、ザフォニックを父に持ち、マルカシェンクやガリバルディというマイラータイプを輩出してきた母シェンクの影響が強かったのかもしれない。ただし、父のロードカナロアは自身の残した成績よりも距離に融通性がある。隔世遺伝で母父が出てくるようなら、意外な距離で活躍する馬になるかもしれない。 クリッパー 牝2 馬主:吉田和美 厩舎:(美)高橋文雅 父:ディープインパクト 母:クイックリトルミス(母父:Freud) 【馬名の意味・由来】 刈る人 【コメント】 母父のフロイトはストームキャット産駒の1勝馬。種牡馬になれたのはジャイアンツコーズウェイの全弟という血統背景が大きいだろう。つまり同馬の配合はディープインパクトに母父ジャイアンツコーズウェイと考えるのと同じで、その相性は決して悪くないはず。母系にはアンブライドルドの名もあり、底力もそれなりにあるはずだ。これまでの産駒はディープインパクトとの配合でも結果を出せていないが、そろそろ大物を出しても不思議はないはず。 ※日曜中山4R ダ1200m※ プタハ 牡2 馬主:髙瀬真尚 厩舎:(美)斎藤誠 父:ヘニーヒューズ 母:シャラポワ(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 古代エジプトの創造の神 【コメント】 4代前にいるクリスエバートはアメリカの殿堂馬にも選ばれている名牝。この馬にニジンスキーを配合し、次にブラッシンググルーム、その次にはサンデーサイレンスとS級の種牡馬ばかりを掛け合わせてきた。母シャラポワに至る段階で完成形を迎えた血統と考えることもできるだろうが、彼女が産んだ産駒の成績を見れば、スピードにやや欠ける面があるようにも思える。そこで選ばれたのがヘニーヒューズ。ストームキャット、ヘネシーから受け継ぐ豊富なスピードを注入できるかどうかが最大のポイントだろう。 ※日曜中山5R 芝2000m※ シャープスティーン 牝2 馬主:林正道 厩舎:(美)武井亮 父:ハーツクライ 母:ウインファンタジア(母父:ヘネシー) 【馬名の意味・由来】 人名より 【コメント】 母のウインファンタジアは栗毛。父ヘネシー、母父イージーゴアはともに栗毛だったので、どちらの影響が強く出ているかの判断はつきかねるのだが、短距離を中心に出走していた彼女の成績を考えれば、ヘネシーのスピードを強く受け継いでいたのかもしれない。ハーツクライは中、長距離用の種牡馬として考えられており、スピードタイプのヘネシーとは相性がいいはず。仮に大きな舞台にたどり着くことができれば、そのときはイージーゴアのスタミナに期待することもできるだろう。 ダイワメモリー 牝2 馬主:大城敬三 厩舎:(美)国枝栄 父:ノヴェリスト 母:ダイワスカーレット(母父:アグネスタキオン) 【馬名の意味・由来】 冠名+記憶 【コメント】 母のダイワスカーレットは競馬史に残る名牝で、牡馬相手のGIでも主役を張り続けるほどの傑出した能力を持っていた。それだけに過去の産駒の成績を物足りなく感じてしまうのだが、キングカメハメハに代表されるように、これまでは少し硬めなタイプの種牡馬が配合相手に選ばれてきた。ダイワスカーレットはサンデーサイレンス系でも、そこまでしなやかなイメージのない馬。相性が良くなかった可能性がある。実際に見たノヴェリストは彼が残した成績に反比例し、しなやかな馬体の馬だった。意外性のある面白い掛け合わせだと思う。 【阪神デビュー】 ※日曜阪神5R 芝2000m※ トーセンブレイヴ 牡2 馬主:島川隆哉 厩舎:(栗)池江泰寿 父:キングカメハメハ 母:ギーニョ(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 冠名+勇敢な、勇ましい 【コメント】 祖母はトゥザヴィクトリーの母として知られるフェアリードール。父にサンデーサイレンスを持つ母のギーニョはトゥザヴィクトリーの全妹という血統背景を持つ良血馬ということになる。キングカメハメハとサンデーサイレンス系の相性の良さは周知の事実だが、この血統のキングカメハメハ産駒は切れよりもスピードを生かすタイプが多い。フェアリードールの父であるヌレイエフの影響をこの部分に感じる。 エタリオウ 牡2 馬主:(株)Gリビエール・レーシング 厩舎:(栗)友道康夫 父:ステイゴールド 母:ホットチャチャ(母父:Cactus Ridge) 【馬名の意味・由来】 得たりおう。うまくしとめたとき、応戦するときに発する言葉 【コメント】 ホットチャチャの祖父であるヘネシーはヨハネスブルグやヘニーヒューズで日本競馬に対応できるスピードを見せている。その父であるストームキャットは気性が悪いことで知られており、同じく激しい気性で有名なステイゴールドとの掛け合わせは一見すると不安材料に思えるが、ステイゴールド産駒のオルフェーヴルとストームキャットの掛け合わせになっているロックディスタウンは気性に問題がない。配合の妙があるのかもしれない。 レッドエクシード 牡2 馬主:(株)東京ホースレーシング 厩舎:(栗)松永幹夫 父:ディープインパクト 母:セレブレイションキャット(母父:Storm Cat) 【馬名の意味・由来】 冠名+超える。想像を超える活躍に期待して 【コメント】 母のセレブレイションキャットの毛色は栗毛。ディープインパクトとストームキャットの配合は過去の例を持ち出すまでもなく、好相性の配合パターンだが、気になるのはストームキャットの産駒のほとんどが鹿毛か黒鹿毛ということで、この母はストームキャットよりも自身の祖父である同じ栗毛のアリダーの影響を受けている可能性がある。仮にアリダーがでているタイプだとすれば、こなせる距離のレンジは少し長くなるはずだ。 ※無料公開期間【次回血統診断】更新まで ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は9月29日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【特別編】血統診断プレイバック!

    現2歳世代がターフにデビューし、早3ヶ月。 これまで当コラムは白井先生による2歳馬の【血統診断】をお伝えしてきました。 この特別編では、6月~8月の期間中にデビューした2歳馬の中から数頭をピックアップし、改めて皆様にご案内いたします。 しかも今回は、別コラムの【調教師の着眼点】でお伝えした“レース後の解説”も一部ご紹介します。先生が「どこに注目したのか?」を再確認していただければ、次走や来春に向けた各馬のポイントを把握できると思います。 今後の各馬の活躍を期待しつつ、皆様にはより一層、白井オフィシャルサイトをご活用いただきたいと思います。 ※初めてご覧になる方へ 血統診断は【レース前】、調教師の着眼点は【レース後】のコラムです。また、どちらのコラムも、時に各馬の『心配な点』や『不安材料』をお伝えしています。「馬名が挙がった=良い評価」とは限りません。 下記の記載はいずれも新馬戦当時の内容です。 ■ピックアップ馬 タニノフランケル ヘンリーバローズ トゥザフロンティア ジナンボー ◆タニノフランケル [血統診断] 母は日本競馬史を代表する名牝のウオッカ。しかし、シーザスターズを配合した過去の産駒はお世辞にも成功したとは言えなかった。馬体のサイズが大き過ぎたことが要因の一つだと思うが、それは兄姉の父シーザスターズが大きい馬であったことと無関係でないと思う。父がフランケルに替わった同馬も大型馬のようだが、これだけの繁殖牝馬に世界トップレベルの馬を配合してチャレンジをしているのだから、相応の結果が出て欲しいところだ。ブライアンズタイムにルションの血を持つ母ウオッカはパワータイプの血統。この馬も軽さよりパワーで押すタイプになるだろう。 [調教師の着眼点](8月12日の新馬戦終了後) 潜在能力では2着タニノフランケルのほうが上ではないだろうか。528キロという大型馬にとって、10秒台のラップを必要とする上がりタイムに対応するのは難しかったと思うし、フランケル×ウオッカという血統は切れよりもパワーで押すタイプ。実際のレースぶりを見て、それは確信に変わった。これだけの血統馬。あっさりと勝ち上がってほしかったという気持ちはあるが、前述したように悲観する内容ではない。太めが解消すれば、すぐにでも勝ちあがれると思う。 ◆ヘンリーバローズ [血統診断] 全兄のシルバーステートは未勝利から4連勝でオープン馬に。先日のセレクトセールでも同馬の全弟が2億6000万円の高値で取引された。誰もが認める血統馬といえるだろう。母父がシルヴァーホークでその先にはニニスキー。血統的には距離が延びたほうがいいはずで、そのイメージは2400m前後。ヘイルトゥリーズンの4×4のクロスを持っており、これが軽い日本の馬場への適性を見せてくれるはずだ。ディープインパクトの切れを要しているかどうかも重要になってくる。 [調教師の着眼点](7月16日の新馬戦終了後) 当日の馬体から受けた印象は、2着だったヘンリーバローズのほうが私には良かった。確かに切れでは負けてしまったかもしれない。しかし、ワグネリアンにはない重厚さが同馬にはあり、兄シルバーステートにも通じるスピードも感じた。今回のレースでは、瞬発力により秀でていたワグネリアンに差されはした。しかし、この馬が使った末脚も素晴らしいものだ。こちらも無事でさえあれば、重賞を狙う素材と評価しておきたい。 ◆トゥザフロンティア [血統診断] 3代前の種牡馬は順にキングマンボ、ストームキャット、ヘイローにヌレイエフ。この名を聞くだけでも、超一流の血統背景を持っていることがわかる馬だ。母のトゥザヴィクトリーは、母父であるヌレイエフのスピードを受け継いでいた名牝で、キングカメハメハよりも豊富なスピードを持つロードカナロアと配合された本馬が、どのようなタイプに出るかは非常に興味深いところだ。ロードカナロアの母父であるストームキャットは、サンデーサイレンス系とニックスの関係にあると私は思っている。これもロードカナロアの今後に関わってくる要素だろう。 [調教師の着眼点](7月22日の新馬戦終了後) 先週は血統馬のトゥザフロンティアが勝ち上がった。その単勝オッズからすれば、順当勝ちと言えなくもないが、勝負どころで最初に手が動き、直線は内にモタれる仕草。まだまだ子供で競馬をわかっていない。いや、走ることをわかっていないという表現のほうが妥当だろうか。この手の馬を評するときに「この状況で勝ってしまうのだから、相当に奥がある」と考えるべきか、それとも「勝ったとはいえ、この状況のままでは上で苦しむ」と判断するのかが難しい。次も能力だけで勝ってしまうことがあるからだ。しかし、管理する立場にいた人間の考えを言わせてもらえば、前者のコメントはリップサービスに過ぎず、浮き彫りになった課題をどのようにクリアしていくか。それに頭を悩ませる。これだけの血統馬なら、なおさらと言えるかもしれない。どのように矯正していくかが重要。私なら3頭併せの真ん中にでも入れて、まずはしっかりと走ることを教えるかもしれない。上手にハミを取れるようになれば、今度は併せ馬の内に入れたい。彼は左回りで内にモタれていた。右回りでも内へ行くのか。それとも左側に馬を置けば、それは大丈夫なのか。その確認をしたいからだ。いずれにしろ、その調整過程も含め、次走は注目のレースになる。そこで矯正されていないようなら、それ以上の活躍を望むことは難しそうだ。 ◆ジナンボー [血統診断] 父ディープインパクトの偉大さはすでに周知の通りだと思うので、今回は母アパパネのポイントを。同馬は長い距離もこなしたが、母系にいるスペクタキュラービッドから受け継いだスピードこそが最大の特徴で、スピード血統を配合してこそのディープインパクトには適した繁殖牝馬だ。サンデーサイレンス系とキングカメハメハの相性の良さも説明不要だろう。三冠馬同士の豪華な組み合わせばかりが取り上げられるが、配合の方向性も満点と言える存在。 [調教師の着眼点](6月11日の新馬戦終了後) 日曜東京の芝1800mを勝ったジナンボー。父にディープインパクト、母にアパパネという三冠馬同士の配合で生まれた超の付く血統馬について、私の考えを述べておきたい。パドックでは馬っ毛を出しかけるシーンもあり、全体的にうるさかった。まだ若いというのが率直な感想で、これはレースにいっても同様。前半は少し行きたがる面を見せていたし、はたして我慢が利くのかな…といった感じ。しかし、そこで暴走せず、しっかりと収まる馬は、今後の伸びしろに期待できる。同馬はその典型と言える存在だろう。デムーロ騎手の拳の位置は他のジョッキーと異なった場所にあり、これは余裕が十分にあるときのサイン。行きたがっていたように見えたのに、追い出してからスッと動けるのは、我慢が利いていればこそだ。新馬戦で行きたがる=スピードがあるからこそとも考えられるわけで、心身ともに成長すれば、大きい舞台を走れる馬になるだろう。欲を言えば、馬体がもうひと回り大きくなってほしい。ディープインパクト産駒なら…と思わなくもないが、小さい馬は使い減りしてしまう心配が付きまとう。夏を越しての成長に期待したい。 以上が、白井先生のレース当時の血統診断などです。 なお、この他にも多数の新馬を6月以降に診断しています。詳しくは当サイトの「血統診断」や「調教師の着眼点」などでお楽しみください。 最後に、既に多くの2歳馬がデビューしましたが、いよいよ秋競馬へ向かいます。 シーリア シンハラージャ ソシアルクラブ ブレステイキング ルナステラ など、母や兄弟に実績馬を持つ注目馬のデビューを待ちわびているファンの方も多いと思います。 今後、どの馬が「血統診断」で登場するかは未定ですが、引き続き楽しみにお待ちください。 ※白井寿昭オフィシャルサイトは30日コース540円(税込)でお楽しみいただけます。 詳しくはコチラから

  • 2017年新馬

    【9月16日・17日・18日新馬戦】新種牡馬のノヴェリストはベストとも言えるチョイス

    【中山デビュー】 ※土曜中山5R 芝1800m※ サラーブ 牝2 馬主:(有)シルクレーシング 厩舎:(美)木村哲也 父:ルーラーシップ 母:サマーハ(母父:Singspiel) 【馬名の意味・由来】 蜃気楼(アラビア語) 【コメント】 半兄に今年の日経賞を勝ったシャケトラ。同馬はマンハッタンカフェとの配合で生まれた馬で、母父がシングスピール、母母父がウッドマンという少し硬めの母系に、サンデーサイレンス系が持つしなやかさを入れる意味があったと思う。ゆえに今回の大きなポイントは配合相手にルーラーシップを選んでいる点。父のキングカメハメハがそうであるように、ルーラーシップもサンデーサイレンス系との掛け合わせによって、能力の上積みを可能にしている種牡馬。切れよりもスピードの持続力を武器とする馬になる気がする。 ※日曜中山5R 芝1600m※ プリモシーン 牝2 馬主:(有)シルクレーシング 厩舎:(美)木村哲也 父:ディープインパクト 母:モシーン(母父:Fastnet Rock) 【馬名の意味・由来】 最高(伊)+場面 【コメント】 ディープインパクトの配合相手には様々な国の様々なタイプが選ばれているが、世界中のホースマンにディープインパクトをアピールしたい生産者側の思惑がその背景にはあるのだろう。オーストラリアのスプリント種牡馬であるファストネットロックを母父に持つ配合も今後は増えてくるはずだ。母モシーンはGIを4勝。2歳戦の世界最高賞金額を誇るゴールデンスリッパーSで2着に入っている。相当なスピードを持っているはずだ。母系にはスピードタイプが望ましいディープインパクト向きの繁殖牝馬と言えそう。 【阪神デビュー】 ※日曜阪神5R 芝1800m※ シャンデリアスピン 牝2 馬主:(有)社台レースホース 厩舎:(栗)松永幹夫 父:ノヴェリスト 母:ダンスインザムード(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 フィギュアスケートのスピンの技名 【コメント】 私が管理したダンスパートナーはもちろん、全弟のダンスインザダークもスタミナ豊富な馬だったが、その一方でスピードにやや欠ける面があった。同じサンデーサイレンスとの配合ながら、サンデーサイレンスのスピードを受け継いだ唯一の存在が本馬の母であるダンスインザムード。実際に彼女は桜花賞とヴィクトリアマイルを勝ち、オークスは勝てていない。ゆえに配合相手には中距離以上の距離にも対応できるタイプが望ましく、新種牡馬のノヴェリストはベストとも言えるチョイス。切れで勝負するタイプとなりそうな気がする。 ダノンチェリー 牝2 馬主:(株)ダノックス 厩舎:(栗)池江泰寿 父:ディープインパクト 母:ウィーミスフランキー(母父:Sunriver) 【馬名の意味・由来】 冠名+桜。桜花賞での活躍を期待して 【コメント】 母父サンリヴァーはハリウッドターフCという芝2400mのGIを勝っているものの、よほどの競馬ファンでないと覚えていない存在。しかし、その全姉がケンタッキーオークスやBCディスタフなどのGIを7つも勝った名牝のアシャドと聞けば、なるほどと思うのではないだろうか。セイントバラッドを父に持つ同馬は、姉の威光で種牡馬となったと考えていい。セイントバラッドはヘイローの産駒で、ゆえに本馬にはヘイローの3×4というインブリードが発生する。スピード、切れの両面において、優位性を発揮するはずだ。 ガールズバンド 牝2 馬主:(有)社台レースホース 厩舎:(栗)須貝尚介 父:ディープインパクト 母:エレクトラレーン(母父:Dubawi) 【馬名の意味・由来】 ガールズバンド。母名より連想 【コメント】 ドイツの1000ギニーを勝った母のことは知らないが、父であるドバウィは自身がGI3勝馬というだけでなく、優秀な産駒を多く輩出している大種牡馬。中距離以上への適性を見せる産駒も少なくないとはいえ、その本質は祖父のシーキングザゴールド、父のドバイミレニアムから受け継いだスピードにあると考えている。先日、ドバウィ産駒のマクフィを見てきたが、この馬の発達したトモもマイラータイプのそれだった。ディープインパクトに必要なスピードを母系がサポートすることができれば、大きく化ける可能性もありそう。 ヴィンセント 牡2 馬主:(株)ノースヒルズ 厩舎:(栗)橋口慎介 父:ハーツクライ 母:ファレノプシス(母父:ブライアンズタイム) 【馬名の意味・由来】 ラテン語で勝つ、克服するという意味を持つ人名より 【コメント】 桜花賞などGIを3勝したファレノプシスはダービー馬キズナと半姉としても知られる名牝。当然ながら、繁殖牝馬としての期待も大きかったのだが、自身に匹敵するような馬はもちろん、オープンで活躍するような馬も出すことができていない。パシフィックプリンセスから続く牝系は後世に伝えて生きたい血統だが、今回で産駒は10頭目。活力が衰えていないかが心配だ。父のハーツクライは爆発力のある種牡馬だが、母系からのスピードのサポートが欲しいタイプ。キャットクイルの父であるストームキャットへの比重は大きい。 ※月曜阪神5R 芝1600m※ グアン 牝2 馬主:(株)キーファーズ 厩舎:(栗)池江泰寿 父:オルフェーヴル 母:マルヴァーンスプリング(母父:Silver Deputy) 【馬名の意味・由来】 人名より 【コメント】 早々に重賞勝ち馬を輩出したオルフェーヴルの前途は洋々と言えるだろうし、なによりの驚きはストームキャットの血を持つ馬との配合でも気性の難しい馬が出なかったことにある。これまで以上にアメリカのスピード血統と配合されていくことになるだろうし、ディープインパクトと同じようにアメリカのスピード血統とは相性もよさそうだ。今回の母父はシルヴァーデピュティ。ノーザンダンサーにミスタープロスペクターの血を持つ同馬のようなタイプは、最も得意とするところではないだろうか ※月曜阪神6R ダ1800m※ イグレット 牝2 馬主:前田幸治 厩舎:(栗)松永幹夫 父:Distorted Humor 母:Heavenly Romance(母父:Sunday Silence) 【馬名の意味・由来】 白鷺、鷺草(花言葉は夢でもあなたを思う)より 【コメント】 ヘヴンリーロマンスはサンデーサイレンス産駒の芝GI勝ち馬だが、サドラーズウェルズが入っていることもあり、タイプ的にはパワー型の属していたように思う。アウォーディーにアムールブリエ、ラニとダートの活躍馬を立て続けに輩出したことが、その証明といえるかもしれない。1993年生まれのディストーテッドヒューマーは父ではなく、母父として語られることが多くなってきており、最近ではドバイワールドCなどGIを4勝しているアロゲートが代表的な存在。繁殖に上がって重宝されることがあると思う。 ※無料公開期間【次回血統診断】更新まで ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は9月22日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【9月9日・10日新馬戦】母系を生かすなら軽さのあるディープインパクト

    【中山デビュー】 ※土曜中山5R 芝2000m※ ハービーナ 牝2 馬主:多田賢司 厩舎:(美)中川公成 父:ハービンジャー 母:ニフティハート(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 父名より 【コメント】 祖母のニフティニースは関屋記念の勝ち馬で、それなりに繁栄もしている母系ではあるのだが、母父がサンデーサイレンス自身であることからもわかるように、すでに一世代前の血統となってしまった感がある。鳴り物入りで種牡馬デビューしながら、大物を送り出せていないハービンジャーにも大望を望みづらい雰囲気になってきた。距離はそれなりにこなすものの、大レースを勝つほどの決め手を持ってはおらず、クラスが上がるごとに壁にも当たりやすい。すでに多くの馬で試されているサンデー系にハービンジャー。これをセールスポイントに出来ないところに同馬の苦しさがある。 【阪神デビュー】 ※土曜阪神5R 芝1600m※ ジャンダルム 牡2 馬主:(株)ノースヒルズ 厩舎:(栗)池江泰寿 父:Kitten's Joy 母:Believe(母父:Sunday Silence) 【馬名の意味・由来】 アルプス山脈の名峰「アイガー」の絶壁の名 【コメント】 半姉のフィドゥーシアの父はメダグリアドーロで、この馬の父はキトゥンズジョイ。ダート競馬に必要なパワーをセールスポイントにした前者と違い、芝のGIを2勝し、BCターフでは2着だったキトゥンズジョイは芝で真価を発揮する馬だった。タイプの違う2頭の類似点はないように感じられるが、実はともにエルプラドの産駒。エルプラド自身が芝のGI勝ち馬で、その産駒にも芝で活躍する馬が多いことから、メダグリアドーロが少し異質なのかもしれない。スピードとパワーで押すフィドゥーシアよりも、切れがあって素軽い走りをするタイプになるのではないだろうか。 スターリーステージ 牝2 馬主:吉田勝己 厩舎:(栗)音無秀孝 父:ディープインパクト 母:スターアイル(母父:Rock of Gibraltar) 【馬名の意味・由来】 星明りのステージ 【コメント】 GI勝ち馬ミッキーアイルの全妹にあたる血統馬。母父ロックオブジブラルタルは日本の競馬に対する適性がそこまで高くなかったが、デインヒルから受け継いだ潜在スピードには間違いのないものがあり、祖母アイルドフランスの父であるヌレイエフもスピードが豊富な馬だった。一昨年のダノンスパークは父がヴィクトワールピサ、昨年のタイセイスターリーの父はマンハッタンカフェとスピードがあり過ぎる母系をサポートするような種牡馬を迎えていたが、この母系を生かすなら、軽さのあるディープインパクトのほうがいいだろう。特に今回は牝馬。マイルまでの距離をこなすことができれば十分と割り切りたい。 ロードラナキラ 牡2 馬主:(株)ロードホースクラブ 厩舎:(栗)高野友和 父:ロードカナロア 母:エンジェリックレイ(母父:ダイワメジャー) 【馬名の意味・由来】 冠名+勝利(ハワイ語) 【コメント】 キングカメハメハとサンデーサイレンス、ストームキャットとサンデーサイレンスという2本のニックスを持っている血統構成。祖母のレディバラードは地方交流重賞の勝ち馬で、ディープインパクトの配合で重賞を2勝したダノンバラードを輩出したが、同馬はディープインパクトの産駒にもかかわらず、切れよりもしぶとさをセールスポイントとするタイプだった。ダノンバラードの半妹になる母エンジェリックレイはディープインパクトよりも明らかに切れないダイワメジャーの産駒。母父の特徴を踏まえれば、この馬もスピードとパワーで押していくタイプと考えていいだろう。 ※日曜阪神5R 芝2000m※ シルヴァンシャー 牡2 馬主:(有)サンデーレーシング 厩舎:(栗)池江泰寿 父:ディープインパクト 母:アゼリ(母父:Jade Hunter) 【馬名の意味・由来】 アゼルバイジャンにあるシルヴァンシャー宮殿 【コメント】 母はアメリカの競馬殿堂入りを果たしている名牝アゼリ。すでに日本で4頭の仔を生んでおり、その産駒成績はまずまずといったレベルだが、これだけの名牝にはGI級の活躍を期待したいところ。まだ期待に応えられていないと言うべきなのかもしれない。ただし、3年連続でタイトルホースとなったアゼリは6歳の秋まで現役を続けた。現役生活を長く引っ張り、繁殖よりも競走のほうに意識を強く傾けた牝馬は、その真価を発揮するまでに時間がかかることが多い。5番仔にあたる今回あたりが走り頃のような気もするのだが。 ※日曜阪神6R 芝1400m※ デルニエオール 牝2 馬主:(有)サンデーレーシング 厩舎:(栗)池江泰寿 父:ステイゴールド 母:オリエンタルアート(母父:メジロマックイーン) 【馬名の意味・由来】 最後の金(仏) 【コメント】 父はステイゴールド、母はオリエンタルアート。説明する必要はないかもしれないが、三冠馬オルフェーヴルの全妹として有名な血統馬だ。ただし、オリエンタルアートの仔はこの馬で11頭目。オルフェーヴルはもちろん、それ以降の馬を産んだ頃のような繁殖牝馬としてのエネルギーがあまりないような気がする。初年度産駒は傾向を掴みきれないという声も聞くが、若い時期のほうが必要な栄養素は行き届くもの。この馬のポイントもそこにある。ステイゴールド産駒の牝馬はただでさえ小さく出やすいが、あまりに体がないようなら…。現時点では馬体重に注目とだけ言っておく。 ※無料公開期間【次回血統診断】更新まで ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は9月15日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【9月2日・3日新馬戦】同世代同士の掛け合わせは走る

    【新潟デビュー】 ※土曜新潟5R 芝1400m※ ダノンスマッシュ 牡2 馬主:(株)ダノックス 厩舎:(栗)安田隆行 父:ロードカナロア 母:スピニングワイルドキャット(母父:Hard Spun) 【馬名の意味・由来】 冠名+打ち砕く。相手を打ち砕く強烈な走りを期待して 【コメント】 祖母のハリウッドワイルドキャットはBCディスタフを筆頭にGI3勝している馬で、繁殖に上がってからはBCマイルを勝ったウォーチャントを出した。ダンジグ産駒だったウォーチャントは1997年生まれで、私が管理した外国産馬のアグネスデジタルと同じ年齢。海外に何度も足を運び、馬を探していた時代の活躍馬だけにとても懐かしく感じる。血統を見てもらえば一目瞭然だと思うが、父系にも母系にもミスタープロスペクター×ノーザンダンサーの掛け合わせが成立。これが当時のアメリカの流行だった。当然ながら、その持ち味はスピードということになる。父ロードカナロアなら芝も克服できるはずだ。 ※日曜新潟5R 芝1800m※ アメリカンツイスト 牡2 馬主:(株)グリーンファーム 厩舎:(美)中舘英二 父:ストロングリターン 母:エアウイングス(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 テニス用語でスピンサーブの別称。父名より連想 【コメント】 父ストロングリターンの最大の魅力はキングカメハメハやルーラーシップなどと同じく、自身がサンデーサイレンスの血を持っていないところにある。配合される相手もサンデーサイレンス系がメインになってくるはずで、今回も母はサンデーサイレンス産駒のエアウイングス。同馬は阪神牝馬特別を制している重賞勝ち馬だが、すでにレース名が変更されていることからもわかるように、1994年生まれの彼女の活力が弱くなっている可能性は低くない。中山牝馬Sを制したウイングレッドなど、まずまずの繁殖成績を残してきた同馬だが、大物を輩出するに至るまでは難しいかもしれない。 プロトスター 牡2 馬主:(有)社台レースホース 厩舎:(美)戸田博文 父:ネオユニヴァース 母:マルバイユ(母父:Marju) 【馬名の意味・由来】 原始星 【コメント】 同馬の母は桜花賞馬のマルセリーナ、重賞3勝馬のグランデッツァを輩出したマルバイユ。マルセリーナは父がディープインパクト、グランデッツァの父はアグネスタキオンで、他にもダンスインザダークやスペシャルウィークなど、サンデーサイレンス系を中心に配合されてきた繁殖牝馬だ。今回も同じサンデーサイレンス直子のネオユニヴァースを配合。代表産駒であるヴィクトワールピサをイメージすれば、ある程度の距離延長にも対応するクラシックタイプと考えていいだろう。父も母も2000年の生まれ。いわゆる同世代配合であるところにも注目したい。 ※日曜新潟6R ダ1200m※ ハウナニ 牝2 馬主:(有)シルクレーシング 厩舎:(美)手塚貴久 父:ロードカナロア 母:ユキチャン(母父:クロフネ) 【馬名の意味・由来】 美しい雪(ハワイ語)。母名より連想 【コメント】 祖母のシラユキヒメから続く白毛の血統。フレンチデピュティにサンデーサイレンスの組み合わせなら、芝をこなしても不思議はないが、この血統はダートがメイン。その代表産駒は関東オークスを筆頭に交流重賞を3勝している母のユキチャンだろう。この馬の父はクロフネだったが、シラユキヒメは他にもキングカメハメハとの配合でブチコやシロニイなどの活躍馬も出した。キングカメハメハを父に持つロードカナロアとの相性は悪くないはずで、おそらくはキングカメハメハ産駒よりもスピードもある。スプリント戦にも対応できるはずだ。 ノヴィア 牝2 馬主:H.H.シェイク・モハメド 厩舎:(美)加藤征弘 父:ハードスパン 母:リメレンス(母父:Seeking the Gold) 【馬名の意味・由来】 恋人(西) 【コメント】 ダンジグ産駒のハードスパンはスピードで押すタイプの種牡馬で、その主戦場はダートと考えていいだろう。母父にはシーキングザゴールド。ダートの短距離というイメージの組み合わせだが、母系には英・愛2000ギニーを筆頭にマイルGIを4勝している名馬ヘンリーザナヴィゲーターの名もある。予想を超える底力を秘めていても不思議はないだろう。ノーザンダンサーの3×4が成立していることからもわかるように、同馬の中にある血統は意外に古いが、それでいながら父も母も同じ2004年生まれというところが面白い。同世代同士の掛け合わせは走る。これは私の持論でもある。 ディライトプロミス 牝2 馬主:(有)キャロットファーム 厩舎:(栗)池添学 父:Lemon Drop Kid 母:Teddy's Promise(母父:Salt Lake) 【馬名の意味・由来】 歓喜の約束。歓喜を得られる活躍を期待して。母名より連想 【コメント】 父のレモンドロップキッドはベルモントSを筆頭にGIを5勝した実績馬であるとともにエーピーインディを輩出した母系の出身でもある。これに超が付く良血馬であるキングマンボを配合されて出来た馬とあれば、走って当然と考えていいだろう。1996年生まれの同馬のピークはすでに過ぎてしまったかもしれないが、これだけの血統馬ならば、晩年に大物を送り出しても不思議はないところだ。ソルトレイク×カポーティの組み合わせになる母系の特徴はスピード。シアトルスルーの3×4というクロスも注目に値する。スプリント戦にも対応可能なはず。 【小倉デビュー】 ※日曜小倉5R 芝1800m※ ノーブルスピリット 牡2 馬主:(有)社台レースホース 厩舎:(栗)中内田充正 父:オルフェーヴル 母:ノーブルステラ(母父:Monsun) 【馬名の意味・由来】 高潔な精神 【コメント】 ステイゴールドには同じサンデーサイレンス産駒のディープインパクトよりも長距離向きのイメージがあり、母父がメジロマックイーンの息子のオルフェーヴルはステイゴールド以上にスタミナ豊富な種牡馬になる可能性が高い。この親子よりもスピードがあるはずのディープインパクトでも、母系にはスピード血統を入れる配合が成功パターンとなっており、オルフェーヴルの配合もそのあたりがポイントになると考えている。半姉のノーブルジュエリーはマイラータイプだったが、同馬の父はスピード豊富なスマーティージョーンズだった。オルフェーヴル×モンズーンの配合でスピードが足りているかどうかだ。 【札幌デビュー】 ※土曜札幌5R 芝1500m※ サトノテラス 牡2 馬主:里見治 厩舎:(美)藤沢和雄 父:オルフェーヴル 母:サトノアマゾネス(母父:Danehill) 【馬名の意味・由来】 冠名+怪物(ギリシャ語) 【コメント】 半兄は昨年の朝日杯FSを勝ったサトノアレス。今後のことはわからないが、マイルまでしか距離をこなせていない半兄の現状のイメージで母系を語るなら、その特色はスタミナよりもスピード。イメージ的には長距離志向の強いオルフェーヴルに適した配合相手ということになると思う。言うまでもなく、その根源になっているのは母父にいるデインヒル。ダンジグ産駒のこの馬が持つスピードが加算されれば、メジロアサマ、メジロティターン、メジロマックイーンの血を持つスタミナと底力が生きてくるシーンも出てくるはずだ。 コスモダリア 牝2 馬主:田中由子 厩舎:(美)二ノ宮敬宇 父:ディープインパクト 母:レインボーダリア(母父:ブライアンズタイム) 【馬名の意味・由来】 世界、宇宙+冠名 【コメント】 ディープインパクト×ブライアンズタイムという配合はディーマジェスティと同じ。GIにも対応できるスピードを示せば、大舞台での底力が生きてくる血統構成になる配合だ。ディーマジェスティとの違いは3代前の血統で、母母父がサドラーズウェルズだったディーマジェスティに対し、同馬の父はノーザンテースト。こちらのほうが日本に適した血統と言えるかもしれない。母レインボーダリアはエリザベス女王杯を制している馬で底力は十分。血統表にいる種牡馬はすべて大物で崩れている部分がない。いい血統だと思う。 ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は9月8日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【8月26日・27日新馬戦】父と祖母のスピードが全面に出てくるのではないだろうか

    【新潟デビュー】 ※土曜新潟5R 芝1600m※ エントシャイデン 牡2 馬主:(株)ノースヒルズ 厩舎:(栗)矢作芳人 父:ディープインパクト 母:ルシュクル(母父:サクラバクシンオー) 【馬名の意味・由来】 決然と(独) 【コメント】 ディープインパクトとブラックタイドは同じ血統構成なので、母父にサクラバクシンオーを持つ同馬とキタサンブラックは似たような血統という表現も出来る。しかし、自身が小柄で産駒もその影響を引き継ぎやすいディープインパクトと違い、ブラックタイドの仔は雄大でたくましい馬が多い。似た血統構成でも異なるものと考えたほうがいいだろう。同馬は函館2歳Sを制したブランボヌールと同配合。全姉はスプリント戦で勝負できるスピードと切れを有していた。芦毛の馬体は優性遺伝からくることも大きく、母系の影響大とまでは言い切れないが、その可能性は高いと考えていいかもしれない。 【札幌デビュー】 ※土曜札幌5R ダ1700m※ アビーム 牝2 馬主:(株)ローレルレーシング 厩舎:(美)加藤征弘 父:ノヴェリスト 母:ジターナ(母父:ダンスインザダーク) 【馬名の意味・由来】 最もヨットのスピードが出る状態。母名より連想 【コメント】 祖母のマルバイユはディープインパクトとの配合で桜花賞馬のマルセリーナを、アグネスタキオンとの配合で重賞3勝馬のグランデッツァを産んでいる。サンデーサイレンス系との相性がいい血統ではあるのだが、この馬の母ジターナの父はダンスインザダーク。少しジリっぽさのある同馬の存在が、私には少し引っ掛かる。ノヴェリスト自身はサンデーサイレンスにも似たしなやかさを持っていると考えている種牡馬。しかし、ダンスインザダークとの掛け合わせではどうなのか。モンズーン産駒であるノヴェリストがダートよりも芝のほうが適性はあるはずで、条件的にも微妙に見える。 ※日曜札幌5R 芝1200m※ ベルーガ 牝2 馬主:R.アンダーソン 厩舎:(栗)中内田充正 父:キンシャサノキセキ 母:アドマイヤライト(母父:Kris S.) 【馬名の意味・由来】 最高級キャビアの種類名 【コメント】 ヌレイエフ産駒である祖母のホワットケイティーディドは多くの活躍馬を産んでいるが、最も著名な馬はクロフネとの配合で生まれたスリープレスナイト。スプリンターズSを制した同馬のスピードは母系の影響を強く受けたものと私は考えている。スリープレスナイトの半姉にあたる母アドマイヤライトはクリスエスの産駒。今回、キンシャサノキセキと配合されたことにより、短距離→長距離→短距離という掛け合わせの流れが出来ているが、おそらくはキンシャサノキセキとホワットケイティーディドのスピードが全面に出てくるのではないだろうか。 スズカローレル 牝2 馬主:永井啓弍 厩舎:(栗)橋田満 父:ロードカナロア 母:スズカローラン(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 冠名+月桂樹 【コメント】 母系にストームキャットがいるロードカナロアはスピードをセールスポイントにする短距離馬を多く出してくると考えられていたのだが、その産駒は意外なほどに渋さがあり、距離の長いレースでも対応しそうな雰囲気を見せる。母父のサンデーサイレンスはしなやかさをセールスポイントにしていた馬で、産駒はあらゆる条件を克服した。シアトルスルーにサンデーサイレンス、ロードカナロアと続く血統構成からすれば、特徴はスピードになるだろうが、幅のある走りをしても不思議はないと思う。 ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は9月1日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【8月19日・20日新馬戦】超一流の血統と言っていいだろう

    【新潟デビュー】 ※日曜新潟5R 芝1600m※ ノチェブランカ 牝2 馬主:吉田勝己 厩舎:(美)国枝栄 父:ディープインパクト 母:ナイトマジック(母父:Sholokhov) 【馬名の意味・由来】 白夜(西) 【コメント】 母はバーテン大賞、独オークスを勝った名牝のナイトマジック。ナイトマジックの母父であるショロコフはイタリアのマイルGIが唯一のタイトルだが、愛ダービーとエクリプスSで2着の実績もあったサドラーズウェルズ産駒。母系の3代前にいるモンズーンも多くの活躍馬を輩出しており、その母系はなかなか重厚だ。ただし、この手の繁殖牝馬とディープインパクトとの相性がいいかどうかとなるとまた別の話で、この馬の上にあたる2頭の兄姉は、どちらもディープインパクトが配合されながら、現時点で2勝止まりと思ったような成果を上げられていない。 デルニエリアリテ 牝2 馬主:山口功一郎 厩舎:(美)栗田徹 父:ゼンノロブロイ 母:トキオリアリティー(母父:Meadowlake) 【馬名の意味・由来】 最後の現実(仏)。母の最終産駒であることから 【コメント】 ディープインパクトとの配合で生まれたリアルインパクトはオーストラリアで、ネオユニヴァースを父に持つネオリアリズムは香港でGI勝利を達成。他にも7勝をマークしたアイルラヴァゲインはエルコンドルパサー、5勝を挙げているレアリスタはステイゴールドと交配相手を替えても結果を残している母トキオリアリティーは、相当なレベルの繁殖牝馬と言えるだろう。メドウレイク、インリアリティーを持つ彼女のスピードが活躍の要因と考えられるが、結果を残してきた馬の父はいずれも相当な切れを有していた。少しジリっぽい印象のあるゼンノロブロイとの配合でどうかとの懸念は少なからずある。 【札幌デビュー】 ※土曜札幌5R 芝1500m※ ミカリーニョ 牝2 馬主:(有)サンデーレーシング 厩舎:(美)木村哲也 父:ハーツクライ 母:ミスエーニョ(母父:Pulpit) 【馬名の意味・由来】 私の恋人(西) 【コメント】 半姉は昨年のファンタジーSを制したミスエルテ。同馬の父であるフランケルは説明不要の名馬だが、プルピット×ヘネシーという組み合わせだった母ミスエーニョとの配合ではスピードが勝ち過ぎてしまった印象がある。サンデーサイレンス系とスピード色の強いアメリカ血統との配合パターンは、すでに多くの成功例を出しているが、今回の父はサンデーサイレンスの後継種牡馬の中でも長距離に実績のあるハーツクライ。スピードに偏った母系のサポートをするだけでなく、ハーツクライの産駒でありながら、マイルを楽にこなす可能性まで残した妙味のある配合となっている。 イルーシヴグレイス 牝2 馬主:(有)キャロットファーム 厩舎:(美)堀宣行 父:ディープインパクト 母:イルーシヴウェーヴ(母父:Elusive City) 【馬名の意味・由来】 言葉では言い表せないほどの人を引きつける魅力。母名より連想 【コメント】 母は仏1000ギニーの勝ち馬で、2つ下の全弟は今年のセレクトセールで5億8000万円という史上2番目の高値で取り引きされた。私も同馬をセレクトセールで見たが、その値段はさておき、注文を付けるところがどこにもない非常にいい馬という認識がある。さて、その姉はどうだろうか? 長距離適性の高いレインボークエストにイルーシヴクオリティ×デイジュールという豊富なスピード血脈を持ったイルーシヴシティを配合。最後にディープインパクトの切れを重ねることで、日本の芝への対応力を付けた配合は非の打ちどころがない。4代前にはニニスキという底力豊富な馬の名前にも注目。超一流の血統と言っていいだろう。 ※日曜札幌5R 芝1800m※ ルーカス 牡2 馬主:(有)シルクレーシング 厩舎:(美)堀宣行 父:スクリーンヒーロー 母:メジロフランシス(母父:カーネギー) 【馬名の意味・由来】 「光をもたらす人」の意味を持つラテン語由来の人名 【コメント】 国内外のGIを6勝した名馬モーリスの全弟。モーリスのイメージは中距離も克服したマイラーだが、その血統に関して言うのなら、マイルよりも中距離以上の距離に適性を感じさせるものだった。スクリーンヒーロー産駒という表現で扱われることの多かったモーリス。しかし、四白流星の派手な見た目は母系の影響によるものと私は考えている。サドラーズウェルズの産駒は派手な仔が出やすく、祖母メジロモントレーの父であるモガミもそう。掛け合わせの妙でスピード豊富なモーリスという馬が誕生したが、この組み合わせが母系を出しやすいのであれば、長い距離で走る馬が出ても不思議でないと思う。 リシュブール 牡2 馬主:窪田芳郎 厩舎:(栗)藤原英昭 父:キングカメハメハ 母:ラストグルーヴ(母父:ディープインパクト) 【馬名の意味・由来】 ブドウ畑の名 【コメント】 母ラストグルーヴは父にディープインパクト、母に名牝エアグルーヴという超一流の血統背景を持つ馬。1戦1勝で競走馬のキャリアを終えてしまったものの、血統的な可能性は無限大と言っていいだろう。エアグルーヴの血統は多くの馬がすでに結果を出しており、特に相性がいいと考えられる種牡馬がキングカメハメハ。エアグルーヴとの配合でルーラーシップを出しているだけでなく、サンデーサイレンスを父に持つ娘のアドマイヤグルーヴがキングカメハメハとの配合で二冠馬ドゥラメンテを、本馬と同じ父ディープインパクトのグルヴェイグがヴァナヘイムというクラシック候補を出した。ディープインパクトがブルードメアサイアーとなってどうなのかを論じることのできる馬かもしれない。 ゴーフォザサミット 牡2 馬主:山本英俊 厩舎:(美)藤沢和雄 父:ハーツクライ 母:ラグジャリー(母父:Storm Cat) 【馬名の意味・由来】 頂点を目指す 【コメント】 大阪杯を勝ち、安田記念2着などの実績を残したショウナンマイティの半弟。マンハッタンカフェも一流の種牡馬だが、ジャスタウェイを筆頭に多くのGIで結果を出してきたハーツクライのほうが実績上位の種牡馬で、潜在的なスピード、レースでの安定感も上と私は考えている。種牡馬としてデビューした当初のハーツクライ産駒は父のイメージが強かったのか、古馬になって化けるような使われ方をしていたが、近年はクラシック路線に乗ってくる馬も多くなった。育成方法を会得したことも大きいだろうが、母父にストームキャットを持ってきた今回のような配合パターンが増えていることも、その要因のひとつになっていると思う。 ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は8月25日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『調教師の着眼点 -先週のレース解説-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

  • 2017年新馬

    【8月12日・13日新馬戦】そろそろ大物が出ても…の期待も持てる

    【新潟デビュー】 ※土曜新潟5R 芝1800m※ タニノフランケル 牡2 馬主:谷水雄三 厩舎:(栗)角居勝彦 父:Frankel 母:Vodka(母父:Tanino Gimlet) 【馬名の意味・由来】 冠名+父名 【コメント】 母は日本競馬史を代表する名牝のウオッカ。しかし、シーザスターズを配合した過去の産駒はお世辞にも成功したとは言えなかった。馬体のサイズが大き過ぎたことが要因の一つだと思うが、それは兄姉の父シーザスターズが大きい馬であったことと無関係でないと思う。父がフランケルに替わった同馬も大型馬のようだが、これだけの繁殖牝馬に世界トップレベルの馬を配合してチャレンジをしているのだから、相応の結果が出て欲しいところだ。ブライアンズタイムにルションの血を持つ母ウオッカはパワータイプの血統。この馬も軽さよりパワーで押すタイプになるだろう。 イダエンペラー 牡2 馬主:張一達 厩舎:(栗)藤原英昭 父:ルーラーシップ 母:アドマイヤセラヴィ(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 人名より+皇帝 【コメント】 祖母フランクアーギュメントは予想されたほどの活躍馬を輩出することはできなかったが、3億円を超える金額で産駒のカームが取引されているように、可能性を感じさせた繁殖牝馬ではあった。サンデーサイレンスと配合された母アドマイヤセラヴィの産駒は超が付くような大物こそいないものの、コンスタントに走っており、体内に名牝のエアグルーヴの血を持つルーラーシップが相手なら、そろそろ大物が出ても…の期待も持てる。この血統構成なら、主戦場は中距離以上になるだろう。 ヴォウジラール 牡2 馬主:(有)サンデーレーシング 厩舎:(美)尾関知人 父:ハーツクライ 母:レジェンドトレイル(母父:フレンチデピュティ) 【馬名の意味・由来】 パリで最も長い通りの名前より 【コメント】 数えるのが大変なほどの活躍馬が出ている血統表に母系の優秀さが表れているが、祖母のハッピートレイルズが生んだ仔の活力は少しずつ弱くなっているように感じるのも事実。自身がGI馬というだけでなく、重賞勝ち馬も出したシンコウラブリイから始まり、キングストレイルを生んだサンタフェトレイル、コディーノを生んだハッピーパスあたりまでは十分な活力があったが、それ以降は悪くないものの、驚くほどの馬は出ていない。本馬の母レジェンドトレイルもハッピートレイルズの晩年の産駒。ここがポイントになりそうだ。 ※日曜新潟5R 芝1600m※ パクスアメリカーナ 牡2 馬主:(株)山紫水明 厩舎:(栗)中内田充正 父:クロフネ 母:グローバルピース(母父:サンデーサイレンス) 【馬名の意味・由来】 アメリカによる平和 【コメント】 ヴィクトリアマイルを筆頭に重賞を5勝したホエールキャプチャの全弟として取り上げられるだろうが、ホエールキャプチャのひとつ上の兄であるドリームセーリングを管理していた私の立場からすれば、彼と同じクロフネ産駒の牡馬という認識になる。私がグローバルピースの仔をやりたいと思った理由はチヨダマサコ、タレンティドガールと続く牝系にサンデーサイレンスを配合が魅力だったからで、この馬の強調ポイントもそこになるのだが、この血統は牝馬のほうが走る傾向にある。ゆえに今回のポイントは牡馬であることだと私は思う。 アイスフェアリー 牝2 馬主:吉田勝己 厩舎:(栗)吉村圭司 父:ノヴェリスト 母:アイスドール(母父:キャプテンスティーヴ) 【馬名の意味・由来】 氷の妖精 【コメント】 名牝トゥザヴィクトリーの全妹という血統を持つ祖母のビスクドール。重賞勝ち馬を次々に輩出した姉の域には達していないものの、この馬もそれなりの活躍馬を出しており、その代表産駒が6勝をマークした母のアイスドールだった。父のノヴェリストとサンデーサイレンスとの相性は良好と私は考えており、ニックスの関係にある他の非サンデーの種牡馬たちと違い、ノヴェリストにはサンデーサイレンスに近いしなやかさがある。間に入ってきた母父のキャプテンスティーヴがどう影響するかだが、その血統構成に魅力を感じる馬だ。 【札幌デビュー】 ※日曜札幌5R 芝1800m※ フラットレー 牡2 馬主:(有)キャロットファーム 厩舎:(美)藤沢和雄 父:ハーツクライ 母:リッチダンサー(母父:Halling) 【馬名の意味・由来】 人名より。母名より連想 【コメント】 ゼンノロブロイを父に持つ半姉のバウンスシャッセは重賞を3勝。いずれも中距離だったが、どれも牝馬限定のレースだった。適性はもう少し長めの距離にあったかもしれない。ゼンノロブロイも中距離以上を主戦場にするタイプの種牡馬だが、父がハーツクライなら、その傾向はさらに強くなると考えていいだろう。母父のホーリングもある程度の距離が欲しいタイプの馬。ゆえに同馬のポイントは祖母フェアリーフライトの父である3代前のフェアリーキングのスピードを、どこまで受け継ぐことができるかに尽きる。 マツカゼ 牡2 馬主:ライオンレースホース(株) 厩舎:(栗)矢作芳人 父:War Front 母:Night Lagoon(母父:Lagunas) 【馬名の意味・由来】 戦国武将、前田利益の愛馬名 【コメント】 半兄は今年の2歳が産駒デビューとなった新種牡馬のノヴェリスト。2400mの距離で結果を出した同馬の父はモンズーンで、そのイメージからは中距離以上の種牡馬と考えられているが、実際はマイル前後の距離にも対応するスピードも見せている。距離の融通性はあると私は考えており、それは父モンズーンから来るものではなく、この母系から得られるスピードが理由ではないだろうか。ダンジグにルビアノ肌という配合だった父ウォーフロントの潜在スピードは相当なものだっただけに、おのずと距離に限界が出てくるはずだ。 ※次回の【血統診断 -白井式ブラッドマニュアル-】は8月18日(金)の公開予定となります。 ・『アカデミック連載 -最強の競馬学-』『先週のレース解説 -調教師の着眼点-』『馬体診断 -鬼才の眼 フィジカルメソッド-』『人気記事』 などもお楽しみください。

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