過去の名馬から海外の競馬事情までを網羅した、読みごたえ十分のオリジナル・コラム!

記事検索

  • カテゴリ
  • 年月
  • キーワード
  • 過去の名馬

    [第1章]クロフネの持つイメージ(クロフネ編)

    ・クロフネ=ダート? すでに多くの産駒がデビューし、繁殖に上がった牝馬も多いクロフネ。 2002年に種牡馬生活をスタートさせ、産駒の勝利数は1200を超えた。 よほどの勝率を残す馬でない限り、その出走頭数は勝利数の10倍以上になるわけで、実際にクロフネ産駒の出走頭数は、2017年冬の時点で1万4200回を突破している。 ゆえに種牡馬としての全貌もほぼ明らかになっている。 おそらく、そう思われているはずだ。 種牡馬・クロフネに対する率直なイメージを問われれば、競馬関係者だけでなく、ファンの多くが「ダート」と答えると思う。 私もそうだったし、彼の産駒がデビューした2005年からの成績をすべて調べれば、そのイメージに大きな間違いがないことがわかる。 1200を超える勝利数の内訳をざっくりとした割合で出してしまえば、ダートが7割で芝が3割。 どうだろう? ほぼイメージ通りという方が多いのではないだろうか。 では、クロフネ産駒の代表的なダート馬は? ダートで850もの勝利をマークしている種牡馬。 この質問を「簡単」と感じるかもしれないが、実はこの質問こそが難題だった。 先のみやこSで強い勝ち方をしたテイエムジンソク。 その該当馬は彼くらいしか思いつかないのだ。 ・GI勝ちは芝のレースのみ 例えば、クロフネの産駒をセールで購入しようと考えた場合。 そのほとんどがダート重賞で活躍するイメージを持っての購入になると思う。 しかし、クロフネの産駒がダートの重賞を勝つことはほとんどない。 前述したテイエムジンソク以外には、マーチSを制したマイネルクロップしかいないのが現実だ。 その一方で、クロフネ産駒は芝の重賞30もの勝ち鞍をマークし、GIも7勝している。 今年のNHKマイルCを勝ったアエロリットは記憶に新しい存在だろう。 NHKマイルCを制したクラリティスカイ。 ヴィクトリアマイルを勝ったホエールキャプチャ。 スプリンターズSと高松宮記念のスプリントGIを2勝したカレンチャン。 同じくスプリンターズSを勝ったスリープレスナイト。 朝日杯FSを制したフサイチリシャールは産駒最初のGI勝ち馬だった。 これを不思議な現象と感じた方も多いだろう。 私も同様の思いを持ったのだが、すぐに「なるほど」と納得した。 そして、この事実こそがクロフネという馬の本質を物語っていると思う。 なぜ、芝のGI勝ち馬すべてを私が列挙したのか? それは名前を挙げた6頭が、ほぼ共通している特徴を持っているからにほかならない。 どの馬も搭載しているエンジンは大きい。 能力の高さは折り紙付きの馬たちばかりだ。 その一方で、道中で脚をためることができず、瞬発力を要求される競馬ではサンデーサイレンス系の産駒に遅れを取る。 その傾向は中距離以上のレースで顕著になるもの。 ゆえにGIという大きな舞台での勝ち鞍は1600m以下のレースに限定されてしまうのだ。 まだまだ説明不足? 私もそう思う。 ゆえに次回は現役時代のクロフネにもスポットを上げ、このような現象が起こっている理由を述べていきたい。 【過去の連載馬】[第1章]ブライアンズタイムの魅力(ブライアンズタイム編)[第1章]神に選ばれた馬(ラムタラ編)[第1章]現役種牡馬の最高峰に挑む(ディープインパクト編)

  • 過去の名馬

    [第4章]オルフェーヴルの本質(オルフェーヴル編)

    ・2頭の最強馬 近年の最強馬と聞かれれば、2頭の馬が大部分の票を集めるだろう。 ディープインパクトとオルフェーヴル。 競走成績は種牡馬としての成功を約束するものではなく、実際に過去の三冠馬は期待されたほどの成績を残せずに終わっているが、ディープインパクトは違った。 産駒はダービーを筆頭とした大レースを勝ちまくり、セレクトセールでディープインパクトの産駒を購入できるのは一部の方々のみ。 高嶺の花どころか、手の届かない存在になってしまっている。 目の保養程度にしか考えていない方も多いのではないか。 すでに他の種牡馬とは違うレベルに彼は到達した。 では、オルフェーヴルはどうだろうか? 正直、わからない。 産駒の傾向と私なりの考えを合致させることで、いずれは答えを出せると思うが、サンプル数の少ない現在は、そのすべてを推測で語るしかない状況。 できることなら、こう答えたい。 だからこそ、これ以降は調教師をしていた私の知識と経験に基づいて話をさせてもらう。 産駒がデビューする前からある程度のところまでを予測し、これくらいの馬が出てくるだろうから買おうとの決断をするのが私の仕事だった。 馬格、血統だけでなく、現役時代の気性までも判断材料にし、目の前にいる仔馬の姿と金額を照らし合わしてきた。 ゆえに今回も同様のことをする。 調教師としての感覚でオルフェーヴルという種牡馬をイメージしてみるのだ。 ・焦点は“軽さ”と“パワー” サンデーサイレンスは気性の激しい馬で、そこを敬遠する声は少なからずあった。 しかし、気性の激しさを無視してでも注目したくなるような“しなやかさ”を彼は持っていた。 私が何度も力説してきたことだ。 コーナーリングでイージーゴアーを引き離したスピードは、彼のしなやかさが根底にあったからこそで、それは多くのサンデーサイレンス産駒を表現する際に使われた“軽さ”に通じるものだった。 そして、この“軽さ”と表現すべき特徴を、ディープインパクトの産駒も受け継いでいると私は思っている。 昔の表現で言うのならば、それは「カミソリの切れ」と呼ばれた類いのもの。 どうだろう? 頭の中にイメージしてもらえただろうか? オルフェーヴルがコーナーで先行馬を飲み込んでいく迫力は凄い。 しかし、その走りはカミソリの切れではなく、ナタの切れのように私には見えた。 まるで戦車のように他の馬を捻じ伏せていく。 こんな表現で伝わるかどうかが心配だが、つまりはサンデーサイレンスとはタイプの違う馬ということ。 この事実だけは頭に入れてほしい。 オルフェーヴルの走法にも違いが表れている。 サンデーサイレンスの系統の多くは飛びの大きいフットワークで、その頂点にいるのがディープインパクトだ。 しかし、オルフェーヴルはピッチで走り、道悪馬場に苦しむこともなく、他馬を吹き飛ばしながらでも走ってくる。 その本質は切れではなく、パワーだ。 仮に私の仮定が真実であるのなら、オルフェーヴルがディープインパクトの牙城を崩すのは難しいだろう。 ディープインパクトは現代競馬に最も適した種牡馬。 もちろん、その背景にあるのは彼の高い能力だが、彼のキャラクターがスピード優先の現在の馬場に合っているのは間違いない。 そして、オルフェーヴルはディープインパクトと違うタイプの種牡馬になる可能性が高い──。 ロックディスタウンのように「予想外」に行儀のいい馬を出してきた実績もある。 規格外だった彼は種牡馬としても規格外になるかもしれない。 だが、現時点で予想をするのなら、オルフェーヴルは前述したような種牡馬になるはず。 残念ながら、そのような結論になってしまうのだ。 オルフェーヴル(牡) 2008年5月14日生まれ 白老産 父ステイゴールド 母オリエンタルアート 母父メジロマックイーン 主な勝ち鞍 日本ダービー(11年) 有馬記念(11年、13年) 宝塚記念(12年) 皐月賞(11年) 菊花賞(11年) 通算成績 21戦12勝(重賞9勝) 総獲得賞金 13億4408万4000円 芝連対距離(重賞) 1600m~3000m 表彰記録 最優秀3歳牡馬(11年) 最優秀4歳以上牡馬(12年、13年) 年度代表馬(11年) 主な産駒 ラッキーライラック ロックディスタウン など 重賞勝利数(中央) 2勝 産駒の主な勝利レース 札幌2歳S アルテミスS など ※種牡馬成績は2017年11月時点 【過去の連載馬】[第1章]トニービンの印象(トニービン編)[第1章]ブライアンズタイムの魅力(ブライアンズタイム編)[第1章]神に選ばれた馬(ラムタラ編)

  • 過去の名馬

    [第3章]現役時代のオルフェーヴル(オルフェーヴル編)

    ・凱旋門賞が教えてくれること デビューから数戦のオルフェーヴルに対し、そこまで強い馬という認識を私は持っていなかった。 実際に何度かの敗戦を喫していたし、その中には大敗したレースもあった。 気性に問題があり、持っている能力を発揮できずにいたのだとは思う。 だが、それでも三冠制覇をする馬になるとは思えなかった。 「なんか知らんけど、やたらと強いな。でも、むちゃくちゃ強いというほどではない」 しかし、凱旋門賞で見せたパフォーマンスが私の評価を大きく変えた。 特に1回目の挑戦。これは惜しかった。 本当に惜しかった。 凱旋門賞は私も勝ちたかったレースのひとつ。 現地にも何度か足を運び、観戦もしてきたが、持ったままで直線の半ばまでくるような馬は、オルフェーヴル以外に見た記憶がない。 しかも、あのような競馬をしながら、オルフェーヴルは最後に差されてしまうのだ。 だからこそ、凱旋門賞の歴史に残る2着として取り上げられるのだろうが、本当に惜しい敗戦を喫したものだ。 凱旋門賞のレースぶりを改めて検証してみる。 直線で抜け出し、1頭になった瞬間から、オルフェーヴルは急激に内側へと斜行。 だが、バテたわけではない。 彼の癖というか、その気の悪さ。これが大事なところで出てしまったのだ。 日本のレースなら負けなかったと思う。 しかし、凱旋門賞は古馬の牡馬が背負う斤量がかなり重い。 ゆえに余計に辛かった。 ・オルフェーヴルが見せた癖とは? 抜けると内にササッてしまう面があったオルフェーヴル。 能力が高く、あっという間に先頭に立ってしまう彼にとって、凱旋門賞のようなコースよりも、中山や阪神内回りのような直線の短いコースのほうが適していたのではないだろうか。 思い出すのは最後のレースになった有馬記念。 ゴールドシップあたりを簡単に捲ってくる脚はさすがと言えるものだったし、この部分のみに着目しても、オルフェーヴルのほうが能力は明らかに上であることを示していると思うが、問題はそのあと。 彼は最後のレースでも直線で内に行ってしまっているのだ。 このような癖を産駒に遺伝させてしまうのではないか? そんな不安を私は持っている。 ステイゴールドも片側ブリンカーを着用し、モタれる癖を矯正していたが、息子のオルフェーヴルも似たような面も見せた。 すべては気性の問題。 遺伝するのは見た目だけではない。 性格も遺伝するということを知っておかなくてはいけない。 ステイゴールドの産駒は牡馬よりも牝馬のほうが難しいと私は考えている。 GIを勝つ馬もいるにはいるが、オルフェーヴルのような傑出した存在ではないし、複数のGIを勝つこともない。 一発屋という表現が適切かどうかはわからないが、もの凄く強いパフォーマンスを見せながら、その強さを持続できなかった馬が多いように感じている。 なぜ? その理由はステイゴールドの気性にあるのではないだろうか。 牝馬のほうが牡馬よりもテンションが上がりやすいもので、ステイゴールドの牝馬となると、その心配はさらに大きくなる。 オルフェーヴルの最初の重賞勝ち馬は牝馬のロックディスタウン。 彼女はパドックでうるさい面を見せず、レースでの折り合いも付いていた。 この点においては「予想外」という言葉を使ってもいいだろう。 だが、彼女の成績が尻すぼみに終わってしまうようだと…。 ステイゴールドと同じ道を辿る可能性もゼロではないのだ。 (※次回に続く) 【過去の連載馬】[第1章]サンデーサイレンスの本質(サンデーサイレンス編)[第1章]トニービンの印象(トニービン編)[第1章]ブライアンズタイムの魅力(ブライアンズタイム編)

  • 過去の名馬

    [第2章]オルフェーヴルと繋がりのある馬たち(オルフェーヴル編)

    ・ゴールドシップは同配合の名馬 オルフェーヴルの母父はメジロマックイーン。 彼のことは現役時代からよく知っている。 メジロマックイーンを生産したメジロ牧場は3200mの天皇賞に重きを置いていた。 長距離の馬に長距離の血統を配合し、その特性をさらに強めていく。 もちろん、スピード競馬が全盛の現代競馬において、それは危険な行為になってしまうのだが、当時はそのような配合でも成功することが出来た。 メジロ牧場の長距離に対するこだわり。 その結晶のような馬がメジロマックイーンだ。 ステイゴールドもスタミナ豊富な馬ではあった。 しかし、メジロマックイーンほどスタミナに特化した馬だったわけではない。 オルフェーヴルの最大の特徴をスタミナとするのなら、父だけでなく、母父メジロマックイーンの存在も考える必要があるような気がしている。 父がステイゴールド、母父にメジロマックイーンの配合はゴールドシップというGI6勝馬も輩出している。 ニックスと表現していいほどの相性の良さだが、メジロマックイーンの影響をより強く感じたのは、同じ芦毛の馬体をしていたゴールドシップ。 彼はオルフェーヴルよりもスタミナに特化していた馬だった。 おとなしい性格で知られたメジロマックイーンが、ステイゴールドの難しい気性を多少は緩和していたのだろうか? いや、そう簡単に割り切れるものではない。 ゴールドシップは見た目こそメジロマックイーンに似ていたが、気性の激しさはステイゴールドに近いものだった。 あくまで相性と言うべきなのだろう。 サンデーサイレンスは気性が激しく、産駒も総じて気性が激しかった。 しかし、それでも結果を残した。 ステイゴールドも同じで、活躍馬は総じて気性が激しい。 だが、この気性の激しさが競走馬としてマイナスにならないのだとすれば、オルフェーヴルやゴールドシップの産駒が、ステイゴールド産駒と同じように気性の難しい馬を出したとしても問題ない。 それとも隔世遺伝でメジロマックイーンのような扱いやすいタイプが出るか──。 これについては改めて後述したいと思う。 ・他のステイゴールド産駒について ちなみに凱旋門賞で2着に好走したナカヤマフェスタ、天皇賞(春)を連覇したフェノーメノにも共通点がある。 ナカヤマフェスタは3代前にデインヒル。 フェノーメノは母父がデインヒルだった。 ステイゴールドはニックスを大事にする種牡馬だったのかもしれないと現在では思う。 オルフェーヴルを筆頭とする産駒たちも、そのような種牡馬になるかもしれない。 頭の片隅に入れておくだけで、思わぬ当たりを引けるかもしれないので、彼らの産駒を狙っている方々は、覚えて置いて損はないだろう。 話が逸れたついでに…というわけではないが、ナカヤマフェスタについてもひと言だけ追記しておきたい。 彼の血統表でいうところの4代前にいるセンシビリティ。 ヘイルトゥリーズン産駒の彼女が有名な馬で、その血はシアトリカルなどを通じて現在も残っているほどだ。 ナカヤマフェスタが宝塚記念を勝ち、凱旋門賞に挑戦する段階になって、その血統に初めて注目したのだが、そのときに彼女の名を見つけた。 そして、これくらいの位置にある程度の血を持つ馬がいることが重要なのだと改めて思った。 父や母父だけで語れないものが血統の世界にはある。 4代、5代も前にいる馬に注目することの重要さをこの項の最後に記しておきたい。 ・次章はコチラ 【過去の連載馬】[第1章]スペシャルウィークが名馬である理由(スペシャルウィーク編)[第1章]サンデーサイレンスの本質(サンデーサイレンス編)[第1章]トニービンの印象(トニービン編)

  • 過去の名馬

    [第1章]ステイゴールドとの相違点(オルフェーヴル編)

    ・父を超えた馬 ステイゴールドの産駒にはGI競走を複数回も勝つ馬が何頭もいる。 これだけの実績を残しながら、未だに「一発屋」のような種牡馬に見られるのも、当たったときの破壊力が他の種牡馬の比ではないためだろう。 大物が多いステイゴールド産駒の中でも傑出した存在。 それがオルフェーヴルという馬だ。 ディープインパクト産駒でディープインパクトを超えた馬はいないが、オルフェーヴルは競走能力、競走成績ともに父のステイゴールドを完全に超えてしまった。 この意見に異論を挟む人間はいないだろうし、私もそう考えている。 ステイゴールド以上の能力を持つオルフェーヴルが父と同等、あるいはそれ以上の成功を種牡馬として達成することができるのか? 彼がスタッドインし、産駒をターフへと送り出してきた現在、この話題こそが連載の最大の焦点となると思う。 その前に話を少し戻そう。 私は父のステイゴールドがこれほどまでの戦績を残すと思っていなかった。 彼が種牡馬として成功した理由、私が成功を予見できなかった理由とも言えるだろうか。 それは彼が持っていた競走能力のすべてを発揮したと言えない成績の馬だったからで、仮に彼が自身の能力をフルに発揮し、GIのタイトルを上積みしていたのなら、その評価も大きく変わっていたかもしれない。 ・馬格のない馬の弱点 激し過ぎる気性と牡馬にしてはあまりにも小さい馬格。 それこそが全能力を出し切れなかった理由ではないかと私は考えている。 では、三冠制覇を筆頭とする大活躍で、近代競馬史にその名を残した息子のオルフェーヴルはどうだろうか。 デビュー時の馬体重は448キロ。 引退レースの有馬記念では466キロ。 オルフェーヴルも決して大きな馬ではなかったが、父のステイゴールドは408キロまで体重を落としたことがあり、現役時代の最高馬体重でも436キロだった。 ひと回り、もしくはそれ以上に違う馬格の差というのは大きく、それが2頭の競走成績の違いとなった可能性は低くないはずだ。 ステイゴールドの仔は一般的に気性が悪いとされる。 オルフェーヴルもその中の1頭ではあっただろう。 だが、気性の悪いところに共通点があったとしても、イレ込みによってスタミナを削られたり、レース後の消耗がより激しかったりするのは馬格の小さい馬。 単純に体力の問題だ。 オルフェーヴルの全兄にドリームジャーニーという馬がいる。 有馬記念などGIを3勝。名馬と呼ぶべき成績の馬だが、彼のことをスタミナ豊富な馬と認識をする人は少ない。 それはステイゴールドと同じく、馬格に恵まれていなかったためだろう。 重い馬場も苦にせずに走ったダービーや凱旋門賞、さらにはコーナーで逸走し、一度は競走をやめるような状況から、半馬身差の2着まで追い込んできた阪神大賞典を見れば、オルフェーヴルはステイゴールドと同じ、もしくはそれ以上のスタミナを有していたと考えられる。 この豊富なスタミナをどのように生かすのかが、種牡馬として成功するかどうかの鍵となるはずだ。 ・次章はコチラ 【過去の連載馬】[第1章]名物オーナーとの出会い(フサイチパンドラ編)[第1章]スペシャルウィークが名馬である理由(スペシャルウィーク編)[第1章]サンデーサイレンスの本質(サンデーサイレンス編)

  • 過去の名馬

    [第6章]種牡馬として成功した理由(ステイゴールド編)

    ・歴史の結晶 常日頃から言っているように、サンデーサイレンスの本質はスピードで、それはサンデーサイレンスが持っていた馬体のしなやかさが生み出している。 鋭角なコーナーで緩まないスピードも、直線で見せる一瞬の切れも、すべてはサンデーサイレンスのしなやかさが根本にあるのだ。 ステイゴールドは二足歩行をしていた馬と前述した。 その行動の背景には、自己主張の強い性格があったのだろう。 しかし、サンデーサイレンスが持つ馬体のしなやかさを持ち合わせていなければ、そのような行為もおそらくは出来なかった。 ステイゴールドはサンデーサイレンスの特徴を強く受け継いだ馬の1頭で、それが現代競馬に必要なスピードに繋がっている。 だが、ステイゴールド自身、及び産駒たちが見せる長距離への適性は、サンデーサイレンスから引き継いだものではない。 その根源にあるのはディクタス。 これも先に述べた。 スピード血統のプリンスリーギフト系に、ノーザンテーストという万能な種牡馬を掛け合わせ、最後にディクタスという種牡馬でスタミナを補完する。 日本の生産界が大事にしてきた血脈を大事に育てていることが素晴らしいし、この血統を守り続けているのが、他ならぬ社台グループであるということに畏敬の念を抱かずにいられない。 ネットワークを張り巡らし、最先端の血統を取り入れている社台グループだが、彼らの凄さは入れ替えるべき血と守り続ける血に対する審判が正確なところにある。 何度も言うが、この血統の祖はテスコボーイ、トウショウボーイで知られるプリンスリーギフト。 つまりは日高の血統だ。 しかし、社台グループは走る血統を見逃さず、何頭かの馬を掛け合わせながら、最終的には自分のところの生産馬にしてしまう。 そして、その血を大事に守り続けていく。 それがサッカーボーイやステイゴールドのような馬を生み出す基盤になるのだ。 血統を守り続けると簡単に言ったが、何十年もの繁殖を持ち続けることは危険な行為にもなりうる。 体力がなければできないことで、言い換えれば、社台グループだからこそ出来たことと言えるかもしれない。 しかし、日本に深く根付いている血統は信頼度が高いだけでなく、いずれどこかで大物を出すことが多い。 私の管理馬で言えば、シラオキに繋がるスペシャルウィークがそうだ。 ステイゴールドの血統は日本競馬の歴史でもある。 そして、彼は彼の中に存在している種牡馬たちの特徴をしっかりと受け継いだ。 それこそがステイゴールドの凄さであり、種牡馬として成功の理由と言えるのではないだろうか。 ステイゴールドの仔は簡単にジャッジできない。 なぜなら、ステイゴールドの産駒には様々なタイプが存在しているからで、メジロマックイーンを母父に持っていることで共通しているはずのオルフェーヴルとゴールドシップも血統面以外の類似点を探すほうが難しい。 だが、それこそがステイゴールドという種牡馬の奥深さに繋がっているのかもしれない。 三冠レースを制し、凱旋門賞では2年連続の2着。 代表産駒のオルフェーヴルは特に傑出した存在だった。 ステイゴールドの連載は今回で終了し、次回以降はオルフェーヴル及び、ステイゴールド産駒の種牡馬としての可能性を考えていく。 これも面白い話になるはずだ。 ステイゴールド(牡) 1994年3月24日生まれ 白老産 父サンデーサイレンス 母ゴールデンサッシュ 母父ディクタス 主な産駒 オルフェーヴル ゴールドシップ ドリームジャーニー フェノーメノ ナカヤマフェスタ レッドリヴェール アドマイヤリード など 重賞勝利数(中央) 85勝 産駒の主な勝利レース 日本ダービー 皐月賞 菊花賞 有馬記念 宝塚記念 天皇賞(春) 朝日杯FS 阪神JF ヴィクトリアマイル など 主な母父成績 クリスマス ブラックバゴ など ※種牡馬成績は2017年10月時点 【過去の連載馬】[第1章]血を追い求めて(ダンスパートナー編)[第1章]名物オーナーとの出会い(フサイチパンドラ編)[第1章]スペシャルウィークが名馬である理由(スペシャルウィーク編)

  • 過去の名馬

    [第5章]ステイゴールドの血統を辿る(ステイゴールド編)

    ・母ゴールデンサッシュとサッカーボーイ ステイゴールドの母ゴールデンサッシュは、名馬サッカーボーイの全妹。 ゆえに話は少し逸れるが、サッカーボーイという馬に関しても触れておきたい。 今後、反映する可能性の高いステイゴールドの血統を考察したとき、ゴールデンサッシュと同配合であるサッカーボーイは、無視することの出来ない存在となるだろう。 ここで掘り下げておくことに損はないはずだ。 この血統の基盤となったロイヤルサッシュの父はプリンスリーギフト。 テスコボーイ、トウショウボーイで一時代を築いたプリンスリーギフト系の特徴はスピードで、この母系にディクタスという掛け合わせは、一見すると単調なスピード血統に思えてしまう。 しかし、それが大きな間違いなのだ。 このディクタスこそが見解の相違を生んでいる馬と私は考えている。 すっかり昔の馬という印象になってしまったディクタス。 1967年生まれであることを考えれば、それも当然といえるかもしれない。 そこで、ディクタスについて、簡単に補足したい。 ディクタスはジャックルマロワ賞というマイルGIの勝ち馬だ。 タイキシャトルが勝ったレースとして日本では知られており、ゆえにジャックルマロワ賞の勝ち馬→マイラーという見識が広がっているのかもしれない。 だが、ディクタスの父であるサンクタスが長距離を得意としていた種牡馬で、ディクタス自身も長い距離を意識した血統構成と当時は言われていた。 もちろん、私が信じるのはディクタスの成績よりも血統構成のほうだ。 ・スタミナの源はどこに? 自身の競走成績と代表産駒であるサッカーボーイの競走成績を照らし合わせ、多くの方はディクタスをマイラーというイメージで考えてしまいがちなのだろう。 しかし、競走馬の中には適性うんぬんではなく、気性の問題によって、こなせる距離に限界があるタイプもいる。 前向き過ぎる馬は血統通りの適性を見せない。 よく聞く話だと思うが、ディクタスの産駒はそのような馬が多かった。 その血統構成を改めて検証してみれば、サッカーボーイにスタミナを与えていた馬はディクタス。 これが私の結論になる。 マイルチャンピオンシップを4馬身差で圧勝しているサッカーボーイに対しては、ほとんどの方がマイラーとしての認識を持っていると思う。 同馬の最大の武器が豊富なスピードであったという意見には私も素直に同意する。 しかし、彼は単にスピードに秀でた馬でなく、それを持続させるスタミナも十分に持っていた。 有馬記念の3着という自身の実績だけではなく、キョウトシチーやヒシミラクルといった彼の代表産駒が、ダートや芝の長距離戦のようなスタミナを必要とする条件を得意としていた事実が、私の考えを証明してくれていると思う。 ステイゴールドに話を戻そう。 産駒の距離適性を問われれば、多くの識者は2000m以上と返答するだろう。 もちろん、私もその中の一人ということになる。 では、ステイゴールドにスタミナを与えた存在とは? 多くの方が悩む質問に対し、私は即答する。 それはディクタス。 サッカーボーイと同じ事象が、ステイゴールドの中でも起こっているのだと。 この血統は深く掘り下げるに値する血統だ。 ここまで述べてきたように、一般的なイメージと乖離している部分が少なからず存在している。 だからこそ面白い。 次回はステイゴールドの血統が存在する意義、さらには彼の代表産駒たちについて話を広げていきたい。 今回の連載によって、ステイゴールドという馬の奥深さが私にも見えてきたところだ。 ・次章はコチラ 【過去の連載馬】[第1章]ボーラーとの出会い(メイショウボーラー編)[第1章]血を追い求めて(ダンスパートナー編)[第1章]名物オーナーとの出会い(フサイチパンドラ編)

  • 過去の名馬

    [第4章]ステイゴールドの潜在能力(ステイゴールド編)

    ・小柄な馬体に秘めたパワー 現役時代のステイゴールドには脅威を感じていなかった。 そんな話を前回にさせてもらったが、ステイゴールドの能力がスペシャルウィークや彼のライバルたちよりも劣っていたのかと言えば、そうとは思えないフシもある。 ステイゴールドには馬格がなかった。 それが怖さを感じなかった理由とも述べたが、その一方でこうも思う。 あれほどまでに小さい体の馬が重い斤量をこなしたのはなぜなのか? 話が重複してしまって申し訳ないが、私がステイゴールドの存在を初めて意識したレースは、スペシャルウィークにクビ差の2着だった天皇賞・秋。 ご存知のように天皇賞というレースは、他のGI競走よりも重い58キロの斤量を背負う。 本来、ステイゴールドのような小柄な馬は苦戦する傾向にあるレースなのだ。 そうかと思えば、56キロの斤量だったにもかかわらず、有馬記念では簡単に負けてしまうのだ。 その理由とは一体──。 7歳の暮れまで走ったステイゴールド。 50戦ものキャリアを消化したにもかかわらず、彼の残した競走成績は歴史に残る名馬と呼べるほどのものではなく、ここまで活躍するような種牡馬になるとは私も思っていなかった。 意外という言葉を使ってもいいほどだ。 だが、彼の競走成績や産駒の活躍を見て、改めて思う。 現役時代の彼は常に能力を出し切るタイプでなかったのではないか。 ステイゴールドにとって初の重賞制覇となった目黒記念。 当時のハンデは58キロで馬場状態は重。 彼のような小柄な馬には厳しい条件のはずなのだが、まるで苦にするところもなく、それまでの惜敗続きだったレースが嘘のように勝ってしまった。 小柄な馬体からは想像するのが難しいほどのパワー。 パワーを武器に他を圧倒していくオルフェーヴル、ゴールドシップのパフォーマンスは、ステイゴールドが目黒記念で見せた走りに通ずる。 この走りこそが、ステイゴールドの本質なのかもしれない。 ・血統面の裏付け 彼はそのすべてを見せることなく、競走生活を終えた。 もし、私の考えが真実であるのだとすれば、彼の種牡馬としての成功に対し、私はいくつかの理由付けをすることができる。 なぜなら、しっかりとした血統のバックボーンをステイゴールドは持っているからだ。 大きな期待はしていなかった。 だが、それなりの種牡馬になる可能性はあるかもしれない。 彼がスタッドインしたときの私のジャッジはこうだった。 名馬サッカーボーイの全妹として知られているゴールデンサッシュを母に持ち、祖母にダイナサッシュ、曾祖母にはロイヤルサッシュ。 日本が誇る系統のひとつで、その先にはテスコボーイ→トウショウボーイの流れを作ったプリンスリーギフトの名がある。 サッカーボーイの豊富なスピードも、このプリンスリーギフトの影響が強いと当時は言われた。 サッカーボーイ、ゴールデンサッシュの父だったディクタス。 1600mのジャックルマロワ賞を勝った同馬をマイラーと定義する声は多いだろう。 だが、私はステイゴールドが距離をこなす大きな理由として、ディクタスの存在があると考えている。 では、その理由とは? 次回は私の本丸である血統面について、深く掘り下げてみるつもりだ。 ・次章はコチラ 【過去の連載馬】[第1章]デジタルとの出会い(アグネスデジタル編)[第1章]ボーラーとの出会い(メイショウボーラー編)[第1章]血を追い求めて(ダンスパートナー編)

メニュー

閉じる